【米マサチューセッツ州ボストン17日(日本時間18日)発】見逃せなかったのは〝びしょ濡れ投球″の前にあった「大黒柱の振る舞い」だった――。

 エンゼルス・大谷翔平投手(28)が敵地レッドソックス戦に「2番・投手兼DH」で出場。3回の攻撃中に約1時間半の雨天中断を挟んだ影響で、2回1失点でマウンドをリリーフに譲った。打っては先制点の起点となるなど2安打を放ち、打線をけん引。チームは5―4でなんとか逃げ切り、連敗を3で止めた。

「ボストンマラソン」開催に伴い午前11時10分開始予定のゲームが、天候不良で約1時間遅れて始まったゲーム。「雨がどうのこうのというより(開始時間が)すごく早かったので、難しかったというか、まだ起きていない感じでした」。加えて気温は10度を下回っていた。ただでさえ3時間の時差がある西海岸から東海岸への長距離遠征で調整が難しい1週間を過ごし、不都合な条件がもろもろ重なった登板。普段より余裕のない状況下だからこそ、余計に際立った行動があった。

 2回表のエンゼルスの攻撃が終わった瞬間、レッドソックス野手陣が一塁側ベンチに引き揚げ終わるのを見計らったかのように土砂降りの雨となった。試合続行をちゅうちょするほどの雨脚の強さで、一瞬にして内野には水たまりができたほど。エンゼルスナインもたまらず動きが止まり、その光景を見入っていた。だが、マウンド横に立った球審は「GO!」と叫び、急いで守備位置につくよう促すジェスチャーを繰り返した。だが、それでも三塁側ベンチの動きは鈍い。その時、一番最初に気づいてマウンド一直線に駆け出して行ったのが大谷だった。それを見て2テンポ、3テンポ遅れて出てくる野手陣。その間、大谷は球審にボールの交換を申し出ながら笑顔でコミュニケーションを取っていた。何気ない行動だが、敵をつくらない大谷の真骨頂。審判団からエンゼルス全体に向けられるネガティブな心情を拭い去る行動に映った。

 その後、大谷は激しい雨に打たれながら、グラウンドキーパーが土をまき整備する様子を見守った。ユニホームはすでにびしょ濡れ。ピッチコムが雨に濡れた影響か不具合を起こすトラブルにも見舞われた。すでに10分以上が経過。雨で冷たく湿ったユニホームが体にまとわりついていた。それでも何食わぬ顔で中飛、見逃し三振、空振り三振に斬った三者凡退は圧巻だった。

 試合後「今日に関しては、特に僕は何もしていない」と淡々と振り返った大谷。この日は主力のトラウト、レンドンが欠場したゲームでもあった。自然と身についた大黒柱の振る舞い――。若い選手も多く、不安定な戦いが目立つチームにあって、二刀流のパフォーマンス同様に何物にも代えがたい。