会心の投球だった。ソフトバンク・藤井皓哉投手(26)が1日のロッテ戦(ペイペイドーム)でプロ初先発に臨み、7回を2安打無失点に抑えて白星を挙げた。5回一死まではノーヒット。9三振を奪った。

 2020年オフに広島を戦力外となり、独立リーグを経て育成選手として入団した苦労人だ。昨季、開幕前に支配下に昇格すると、勝利の方程式として55試合に投げて防御率1・12をマークする活躍。今季は先発転向への挑戦を決断し、見事な好スタートを切った。
 
 独立リーグの秘める可能性を示す存在でもある。ホークスOBでもある独立リーグ高知の恩師・吉田豊彦監督は「本当に大きいです。変わるきっかけをつかむことができる環境であるというメッセージを残してくれた。一度NPBで自由契約になっても挑戦しようという選手が増えてくれば、活性化する。やっている意味につながる」と感謝を口にしている。

 もともと高いポテンシャルを秘めていた。ただ、広島を戦力外となった際は結果に追われて小手先の投球となり、自信も失っていたように見えたという。このようにボタンの掛け違えで落とし穴にハマる選手は決して少なくない。藤井はハングリーな環境下で自らを見つめ直すことができた。

 もちろん、本人の努力があってこそ。吉田監督はこう付け加えることも忘れなかった。

「すべて本人の力です。(高知は)自分の感覚を戻す場だった。我々はそのお手伝いをしただけです。想像以上に厳しい環境です。独立リーグに来ても『おれはNPBだぞ』という気持ちが抜けずに辞めていく選手もいます。その点、皓哉はとても素直な選手でした。謙虚な心で、意識を高く持ち、今でも成長し続けることができる人間だからこそ、チャンスをつかむことができたんだと思います」

 昨年末、自身の活躍が独立リーグへの恩返しにつながっていくことについて、藤井も「自分としても意識していたことです。今後もそういう思いを持ってやっていきたい」と、うなずいた。

 NPBの恵まれた環境から一変するだけに強い覚悟が必要になる。決してラクな道のりではないだろう。それでも快進撃を続ける右腕が、後進に再挑戦の道を示しているのは間違いない。