世界女王の変わらぬ素顔とは――。フィギュアスケートの世界選手権3日目(24日、さいたまスーパーアリーナ)、女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)1位の前回女王・坂本花織(22=シスメックス)は、145・37点をマーク。合計224・61点で男女を通じて日本勢初の連覇を達成した。そんなスケーターの魅力を小学校時代からの友人である山隈太一朗(22=明大)が明かしてくれた。

 演技後には両手で顔を覆い、大粒の涙を流した。後半の3回転フリップ―トーループの連続ジャンプで、フリップはまさかの1回転。何とか逃げ切ったが「メダルを見たらうれしいけど、顔を上げたら悔しさが戻る」。喜びよりもノーミスを逃した後悔の方が大きかった。

 日本フィギュア界に新たな歴史を刻んだ世界女王について山隈は「すごみをオフアイスではなかなか出さない。常にフランクで気さくなので『こんな世界女王がいるのかなと』。あのフランクさがあるから、常に世界のトップに挑めるのかな」と率直な印象を語った。

坂本の「素顔」を知る友人の山隈太一朗(代表撮影)
坂本の「素顔」を知る友人の山隈太一朗(代表撮影)

 坂本は、兵庫生まれ、兵庫育ちで生粋の関西人。山隈と会話をする際は、坂本がツッコミ役になる機会が多いのが日常のやり取りだ。ともに兵庫チームの一員として出場した1月の国体では全開の〝坂本ワールド〟に触れたという。

 山隈は国体を最後に現役を引退することもあり、坂本も国体への出場を決断した。山隈は「最後の国体のラスト演技の前も、すごい応援しに来てくれた」と粋な計らいに感謝した上で、ある出来事を回想。「本番前に『大丈夫やで』って背中をたたいてきた(笑い)。僕が『違う違う違う、痛いの。もうね、あと痛いしかないから』と言っても、坂本は『落ち着いてね』と再び激励してくれましたよ」と〝クレーム〟も忘れなかった。

 どれだけ実績を積んでも、決してツッコミを忘れない姿は、今も昔も全く同じ。山隈は「やっぱり体から出ているパワーがすごいので、ツッコミも強い(笑い)。でも、彼女はもう本当に会うたびにそんな感じで、もう僕がイジって、彼女から激しいツッコミが来るのがワンセットですね」とニヤリ。選手としてどれだけ大きくなっても〝自然体〟のままだ。

 4年前の同会場ではフリーの失速で5位だった悔しさも振り払い、次に期待されるのは3連覇だ。本人は「まだ早い。それは10か月後に考える」と冷静に語る一方で「緊張しても焦っても、自分を見失わずに最後まで滑り切れるような選手になりたい」。さらなる理想を追い求める決意に変わりはない。