考え抜き、至った境地とは――。フィギュアスケートの世界選手権2日目(23日、さいたまスーパーアリーナ)、男子ショートプログラム(SP)が行われ、前回大会覇者の宇野昌磨(トヨタ自動車)が104・63点をマークして首位発進。友野一希(上野芝ク)は92・68点で7位、山本草太(中京大)は75・48点で17位だった。

 エースの演技は、周囲の心配を一瞬で振り払った。ジャンプの不調を訴えていた宇野は、22日の公式練習で右足首を負傷。「自分がこのまま普通に演技したらあまり良い演技ではないというのが久々だった」。忘れかけていた不安を思い出したが、今の自分にできることを考えた。「一番状態が悪いのに一番高望みをしていた」。結論は完璧な演技よりも、ミスを引きずらないことだった。

「さあ、頑張るぞ」。いつも以上に感情を入れて挑んだSPは、4回転フリップ、4回転―2回転、の連続トーループ、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を着氷。スピンもステップもきっちりまとめてみせた。「出し切ったと言える演技だった。いつも、最近は演技後も結構冷静にいたが、今日は込み上げる気持ちがあった」。苦しい状況下でも100点台に乗せてきたのは成長の証し。グッと握りしめたこぶしからは、自然と感情があふれ出た。

 SP前は連覇を意識する余裕などなかった。しかし、偉業は目の前に迫っている。25日のフリーは、あえてプレッシャーをかけた中で臨む方針だ。「足の状態はここからひねらない限り、悪くなることはないと思う。調子があまり良くない状況でループ、サルコー、フリップ、最初の3つの(4回転ジャンプ)をどう1日で調整していくか」。頂点を知る者として、その実力を示す覚悟はできている。