【門倉健 7球団奮投記~行けばわかるさ~(19)】2001年の近鉄は中村紀、タフィ・ローズを中心としたいてまえ打線が大爆発して優勝へ一直線。9月18日の西武戦に勝って優勝マジック「6」が点灯すると、9月24日の西武戦では9回裏、中村紀の逆転サヨナラ2ランが飛び出してマジックは「1」となります。そして9月26日、本拠地でのオリックス戦を迎えました。
僕はこの試合の途中からブルペンで待機していました。試合はオリックスペースで進み、9回表が終わった時点で2―5と3点のビハインド。普通なら敗色濃厚の試合展開です。しかしこの年の近鉄は奇跡的な逆転ゲームを何度もものにしていましたから、ベンチもブルペンもあきらめムードはありません。9回3点差の場面で守護神の大塚さんを投入するなど梨田監督も勝つための采配をしていました。
ブルペンのモニターで試合を見ていると9回裏、連続ヒットと四球で無死満塁。「あれ、もしかして…」。球場全体が異様なムードに包まれてきているのが画面からも伝わってきました。ここで梨田監督が代打に送ったのが、この年、阪神からトレードで移籍してきた北川。2日前の西武戦では松坂大輔からホームランを打っていましたから近鉄ファンのボルテージも上がります。スタンドから湧き起こるものすごい声援の中、打席に入った北川は1ボール2ストライクからの4球目、オリックス・大久保の投じたスライダーをフルスイング。打球は左中間スタンドに飛び込む代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームランとなり、近鉄が12年ぶりのVを決めたのです。
打球がスタンドに突き刺さった瞬間、ブルペンにいた投手全員がグラウンドへ向かって猛ダッシュです。チーム全員で殊勲打を放った北川を迎えましたが、とにかくもう球場全体がお祭り騒ぎ。大阪ドームがあんなに盛り上がったのは記憶にありません。1999年に中日が優勝を決めたとき、僕は二軍にいたので星野監督の胴上げには参加できなかったのですが、このときの梨田監督の胴上げにはしっかり参加できました。本当に喜びしかなかったです。
でもこのときはビールかけの予定がありませんでした。9月11日にニューヨークでテロが起こり、世界中が自粛ムードとなっていたからです。祝賀会もブルペンで内輪だけでの乾杯。それでも優勝したからにはやっぱりビールかけがしたいものです。そこでお風呂場に選手みんながそれぞれビールを4、5本持って集まり、内緒でビールかけを行いました。生まれて初めてのビールかけは思い描いていたものとはちょっぴり違った形で行われましたが、やっぱりうれしかったですね。
でもセ・リーグで優勝したヤクルトはなぜかビールかけを行っていましたし、メジャーでもシャンパンファイトをやっていました。「あれ? 俺たちもビールかけやってよかったんじゃないか」。後からそんなボヤキが選手の間から出てましたね。












