第5回WBCで3大会ぶりの世界一を目指す侍ジャパンは、16日に準々決勝・イタリア戦(東京ドーム)に臨む。栗山英樹監督(61)は前日練習で「ここから違う戦いが始まると思っています。明日の大切な試合、大谷翔平でいきます」と〝トーナメント初戦〟を世界の二刀流に託すことを明かした。大谷は「普段通り、当たり前のことをしっかりできるかどうかが大事」と一発勝負の鉄則を語ったが、そんな大谷にはベーブ・ルース級の「100年の価値」という賛辞が贈られている。

 負けたら終わりの〝トーナメント初戦〟で栗山監督が先発に指名したのは大谷。日本ハム時代の2012年ドラフトで強行指名した18歳に「二刀流」を提案し、メジャー入りを翻意させ「二刀流はチームを勝たせるためにある」と未踏の荒野をともに歩んできた。

 世界の頂点を目指すための〝最初のヤマ〟をその大谷に託した指揮官は「二刀流? それが彼のスタイルなので、大谷翔平らしくやってくれると思います」と迷いなく語った。

 9日の中国戦以来となる二刀流出場の大谷は「かなり厳しい試合になると思いますけど、一点一点を大事にしながら頑張りたい。なかなか普段通りにプレーするのは難しいと思うが、当たり前のことをしっかりできるかどうかが1点、2点を争う時には大事。プレッシャーも想定しながら普段通りの気持ちで試合に臨みたい」と必勝を誓った。

 一方、MLBの殿堂入り捕手でもある、対戦相手のイタリア、マイク・ピアザ監督(54)も大谷に言及。「おそらく一生に一度の選手。これほど野手としても投手としても影響を及ぼす選手はいない。メジャー全体を見渡してもベーブ・ルースが最初でそれ以来の素晴らしい選手。われわれの時代にフルタイムでこれほどの選手はいなかった。明日はそれほど打てる球が来るとは思わない」と敬意を示した。

 世界の猛者が集結するMLBであの「神様」ベーブ・ルース以来100年以上現れなかった二刀流を高いレベルで成功させ、2021年には満票でのMVP受賞。翌22年にはルースでさえ実現できなかったシーズンでの規定打席&規定投球回をクリア。大リーグが現在の2リーグ制となった1901年以降で初となる歴史的快挙を達成した。

 もはや唯一無二の伝説的存在「ユニコーン」とも称される大谷の価値は「今よりも100年後に改めて再評価される」と強調するのは、ドジャースやエンゼルスをカバーするLAタイムズの名物コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者だ。

 同記者は「自分も含めて、大谷の本当の価値は実はまだ誰も知らない。理解していないと思う。その価値が本当に評価されてくるのは30年後、50年後、いや100年後のことだと思う。大谷の切り拓いた投打二刀流という道を、あのレベルでこなせたプレーヤーが何人いたのか。その事実を振り返った時に初めて本当の偉大さが分かると思う」という表現で大谷の存在に最大限の敬意を示している。

 今目の前で起きている事象は100年に一度の奇跡かもしれない…。ベーブ・ルース級のプレーに侍ジャパンは大事なアメリカ行きの切符を預ける。