侍ジャパン・大谷翔平投手(28=エンゼルス)が、第5回WBCで日本はもちろん、世界中の野球ファンの注目を一身に集めている。1次ラウンド同様、リアル二刀流登板が見込まれる16日の準々決勝・イタリア戦(東京ドーム)でも大車輪の活躍が期待されるが、今大会を視察しているMLB関係者は「これまでのメジャーの試合では見たことがない光景」を目の当たりにしたという。
東京ドームで行われたWBC1次ラウンド、ネット裏に陣取った米球界関係者が最も驚いたのが、試合前の大谷の打撃練習だったという。しかも、印象に残ったのは技術ではなく、球場全体の雰囲気だった。
「日本人がどれだけ大谷をリスペクトしているかを最も感じた」としたのが、その雄姿を目に焼きつけようとする日本人ファンの〝沈黙ぶり〟。韓国戦前のフリー打撃を見たMLBスカウトは「4万の観客が(大谷の)バッティング練習中、球場にいる人が誰もしゃべってないぐらい静かになって…。1人の選手の練習にみんなが注目しているのは間違いないのに(球場内が)あれだけシーンとなる。あれは米国でも見たことがない、初めての光景」と振り返った。
メジャーのシーズンでは、投打二刀流を兼ねる体力的な負担を軽減することを目的に、野手のみで出場の場合でも、試合前の打撃練習を屋外をすることは稀。ただ、そうであるがゆえにメジャーでは、そんな〝レアな〟シーンに出くわした場合は指笛を吹いたり、拍手などをして、それぞれに喜びの〝感情〟を表現するファンがほとんどだという。
だが、大谷の〝地元〟である日本で行われたWBCでは、スマホのカメラを構えながら、4万人が一斉に沈黙。外野スタンド上部の看板直撃など、特大弾クラスが出た際に「おおっ!」とどよめく声が時折、響く程度で、あとはフラッシュライトが無数に打席の男に注がれるのみ。NPB時代から何度も大谷のフリー打撃を見てきた米球界関係者たちの心を「神秘的な光景だった」と、大きく揺さぶったという。
「ひと昔前のイチローもそうだったけど、普段のユニホーム姿から醸しだす雰囲気だけで〝特別な選手〟であることが伝わってくるようになっている」とは別のMLBの駐米スカウトの談。
「米国で大谷がファンから愛される理由は、もちろん投げても、打ってもすごいことだけど、それとは別にいい意味で、ただそれだけが『美しい』ということ。別にそれが悪いわけじゃないけど、米国人選手がセレブな人たちと交流したり、中南米系のプレーヤーが奇抜なファンションで話題を呼んだりと、それは米国でもよくある。でも、米国の大谷ファンの話の中身はいつも野球。それだけで、十分に満足できているからじゃない?」
本物の〝オーラ〟を身にまとった選手には、その人物にまつわる趣味や嗜好など肉付けは一切、不要ということか。今回のWBCで、米球界関係者らを〝感動〟させたように、世界が誇るスーパースターの背中はさらに神々しいものになっている。











