WBC1次ラウンド初戦の中国戦(3月9日、東京ドーム)まで10日を切った中、侍ジャパンの主力打者がそろって不振に陥っている。宮崎でのソフトバンクとの壮行試合2連戦で4番に座った村上宗隆内野手(23)が無安打に終わり、山田哲人内野手(30=ともにヤクルト)や山川穂高(31=西武)のバットからも快音は響かなかった。一部ファンからは「本大会は大丈夫なのか」との声も上がっているが、当事者たちの間では意外にも現在の不調を「吉兆」と捉えているという。
3月開催の第5回WBCに出場する日本代表は、27日に宮崎強化合宿を打ち上げた。最終日は午前中で全体練習が終わり、栗山英樹監督(61)や選手、コーチ、スタッフらがメイン球場のマウンド付近に集結。円陣を組んで一本締めを行い、11日間に及んだ合宿を締めくくった。
指揮官は今合宿について「順調に選手たちは前に進んでくれた。さすが一流の選手。いい時間だったなと思います」と総括。その上で「(監督が)選手たちの力を発揮させてあげられれば勝ち切れる、というふうに信じていくだけ」と目前に迫る本大会に向けて力を込めた。
ただ、指揮官の言葉とは裏腹に、このところ周囲では主力打者の相次ぐ不調が懸念されている。25、26日のソフトバンクとの壮行試合では、4番を託された村上が2試合で4打数無安打3四球に終わり、右の大砲として期待される山川も計4打数無安打1四球。2試合とも1番に座った山田にいたっては、計6打数無安打4三振1四球で、得点機を再三つぶす散々な結果に終わった。ファンの間から「大丈夫か?」の声が漏れ聞こえてくるのも無理はない。
当の選手たちもさぞや意気消沈しているのかと思いきや、そうでもないようだ。チーム関係者に聞くと、当人たちは大会本番での逆襲に意欲を燃やしているという。
あるチーム関係者はその実情をこう明かした。
「確かに3人は壮行試合で結果を出せなかった。でも、現状では誰も落ち込んでいる様子はない。むしろこの状況を吉兆と捉えているようなのです」
村上は2021年の東京五輪決勝(対米国)で3回に金メダルを決定づける決勝弾を放っただけでなく、準決勝までの4試合でも打率3割以上を残す大活躍を見せた。山田も19年のプレミア12の決勝(対韓国)で起死回生の逆転3ランを放って世界一に貢献した。山川は国際大会での目立った実績はないものの、18年の日米野球では代打で2本の適時二塁打をマークしている。こうした過去の大一番での経験値があるため、本番前の結果は度外視。むしろ大舞台で最高の結果を出すため、現在は打席内での確認作業に重点を置いているという。
「鈴木誠也の故障発覚や主力打者の不振で、侍ジャパンの攻撃陣は急激に評価を落としていますが、少なくとも村上、山川、山田の3人は何の心配もない。一部ファンからSNS等で揶揄(やゆ)されている選手もいますが、『言わせておけばいい』と今後の発奮材料にしているぐらいですから、頼もしいですよ」(前出関係者)
村上は合宿最終日の練習後に「ケガなくしっかりできましたし、練習もある程度強度を上げてできたので、いい機会になりました」と話し、自身の打撃についても「まだ(本番までに)試合が4試合ある。課題は出てくると思いますが、いい形になっているので」と自信をのぞかせた。
大事なのは本大会で結果を出すこと。本番前の雑音は決戦の場で一蹴する。












