〝プロレスリングマスター〟こと武藤敬司(60)が21日、東京ドームで内藤哲也(40=新日本)との引退試合を終えた。

 試合は同期・蝶野正洋のSTFや故・橋本真也さんの袈裟切りチョップからのDDT、永遠のライバルの故・三沢光晴さんのエメラルドフロウジョンを放つなどして奮闘。人工関節置換手術を受けて医師から禁じられた月面水爆を試みる場面もあったが、飛べず悔しそうな表情を見せる場面もあった。

 終盤には自らが数々の強敵を葬ってきた低空ドロップキック、ドラゴンスクリュー、足4の字固め、閃光魔術弾で追い込まれる。そして最後は内藤必殺のデスティーノで散った。試合後にはサプライズを仕掛け、放送席の蝶野をリングに呼び込み〝もう1つの引退試合〟を敢行。ビンタ、STF、ケンカキックをくらってギブアップし、39年の現役生活に幕を閉じた。

 試合後は晴れやかな表情で「なんかそんなに悲しくはないし。ここまでの道のりがしんどかったから、やっと終わったかな、という感じですね」と笑顔を見せる。ライバルたちの技を繰り出したことに「慣れた技じゃないから決めることができなかった」。月面水爆を飛べなかったことに「昔、プロレスのためなら脚の1本や2本あげてもいいと言ったことがあるけど、あげられなかった。俺はウソつきだよ。ちゅうちょしちまった。家族の顔とか医者の顔とかが浮かんじまった」と唇を噛んだ。

ムーンサルトプレスをあきらめる武藤(左)
ムーンサルトプレスをあきらめる武藤(左)

 最後の3カウントを聞いた瞬間を「広いなあ、天井は…って思っていたよ。東京ドームの真ん中で仰向けになれる機会なんてないしね」と振り返る。サプライズの蝶野戦については「蝶野と(1984年10月5日のデビュー戦で対戦してプロレスのキャリアを)スタートしたからね。締めくくりも蝶野にしたかった。よくあそこまで動けたよ。大したもんだ。うれしかったです」と求めに応じた同期をたたえた。

 これまでの戦いを振り返り「本当に幸せなプロレス生活でした」と満足げ。〝もしまた元気になったら復帰する可能性はあるのか?〟の問いに「もうケジメ付けたから、そんなことないよ。これだけ盛大に祝ってもらって復帰したら詐欺でつかまっちまうよ!」と否定。

「39年間、本当にありがとうございました!」と感謝すると長いレスラー人生に幕を閉じた。