【赤坂英一 赤ペン!!】侍ジャパンに、WBCの使用球で調子を落とす投手はいないか。いるとしたら、悪影響を受けるのは誰で、どのチームか。プロ野球報道がどこもかしこもWBC一色の中、選手を送り出した各球団のキャンプ地では、そんな時ならぬ不安の声が聞かれる。使用球との相性が悪い投手は、WBCで活躍できないだけでなく、チーム復帰後も復調に時間がかかるかもしれないというのだ。

 WBC使用球はMLB公式戦に準じたボールで、NPBより大きくて縫い目が高く、表面がツルツルで滑りやすい。2006年第1回大会当時に比べれば投げやすくなったと言われるが、初めて握る投手には、やはり扱いづらいようである。

 現に広島・栗林、巨人・戸郷などWBC初出場の投手からは、違和感や投げにくさを訴える声が続出した。その後、強化合宿で投球練習を重ねたおかげで徐々に慣れつつあるらしい。が、「まだ安心できませんよ」と、過去のWBCに参加した経験を持つ球界関係者はこう指摘している。

「WBC使用球で厄介なのは、ボール一つ一つに個体差があること。実際、日本の予選ラウンドではそれなりに好投していた投手が、アメリカの決勝ラウンドに入った途端、本来の投球ができなくなったというケースも、過去にはありましたから」

 その傾向が特に強いのが、フォークなどの落ちる変化球を決め球にしているタイプ。決勝ラウンドまで進んだころには疲労がたまっている影響もあって、無理やりフォークを落とそうとしてヒジの腱を痛めた投手もいたそうだ。

 例えば、2009年第2回大会ではクローザーの阪神・藤川が調子を崩して、原監督は決勝ラウンドで急きょダルビッシュを抑えに配置転換。13年第3回大会でも、有力候補だった中日・山井がWBC使用球にまるで適応できず、本番を前に最終メンバーから外されている。ちなみに、13年の山井は日本でのシーズン開幕後も不振を引きずり、二軍落ちを経験。この年は5勝6敗、防御率4・15という成績に終わった。

「今回の侍ジャパンは、確かに史上最強クラスのメンバーがそろいました。世界一を奪回する可能性も高い。しかし、その半面、ダルビッシュ以外の投手はほぼWBC初参加で、ダルビッシュと大谷を除くとボールに触れるのも初めて。ひとりでも悪影響を受ける投手が少ないことを祈ります」

 と、WBC参加経験のある球界関係者は警鐘を鳴らしている。