扇の要は誰が担うのか。3月開催の第5回WBCに臨む野球日本代表・侍ジャパンで正捕手争いの行方が注目されている。17日から宮崎強化合宿がスタート。集合日の16日にはダルビッシュ有投手(36=パドレス)がチームメートとなる巨人の4選手と宮崎市内で合同トレを行い、初代表の大城卓三捕手(30)とキャッチボールを行う場面もあった。甲斐拓也(30=ソフトバンク)、中村悠平(32=ヤクルト)も含めた侍捕手3人の〝バトル〟は思いのほか、混とんとしているようだ。

 ダルビッシュが侍ジャパンの一員として早速〝始動〟した。古巣・日本ハムの帽子をかぶって木の花ドームに姿を見せると、入念なストレッチを行った後、キャッチボールを開始。途中から大城卓を相手にカーブやスライダーなど変化球も交えながら、軽い立ち投げのような状態とはいえ力強いボールを投げ込んだ。

 侍最年長となる36歳右腕は「すごく寒かったので動きはそこまで良くなかったですけど、他の選手のキャッチボールを見ることができて良かったです」。〝生ダル〟の剛球をミットで受けた大城卓も実際の威力と精度の高さに目を丸くし、終始感激した様子だった。

 そんなダルビッシュに加え、侍ジャパンの先発投手候補には宮崎合宿終了後の3月上旬に合流予定の大谷(エンゼルス)、そして山本(オリックス)、佐々木朗(ロッテ)、今永(DeNA)らMLBとNPBのオールスターメンバーがズラリ。ブルペンも含め「歴代最強」と目されるモンスタークラスの投手陣を、誰が主戦捕手としてリードしていくかは宮崎合宿でも大きなテーマの一つとなる。

 筆頭候補は甲斐だ。2018年の日米野球、19年の第2回プレミア12、21年の東京五輪と、ここまで侍ジャパンのトップチームで正妻の座をキープ。昨季は打撃不振で規定打席に到達できず、若手に先発マスクを譲る機会も目立ったが、侍ジャパン関係者によれば「国際経験の豊富さで右に出る者はいない。確かに打撃は不調だったが、守備では6年連続のゴールデン・グラブ賞を受けるなど他の追随を許さなかった。〝甲斐キャノン〟はMLBでも広く知られているし、WBCでは大きな武器になる。同一リーグで山本や佐々木朗らNPB組先発候補の主力2人を間近で見ており、何より山本とは東京五輪でバッテリーを組んでいる。現時点で栗山監督は甲斐の力を最も高く評価している」という。

 ただ、対抗馬とされる中村を「やはり好調な捕手を起用すべきだ」として推す声もチーム周辺では根強い。ヤクルトの扇の要としてチームを21年に日本一、昨季も2年連続のリーグVへと導き、勝負強い打撃にも定評がある。

 この日、ダルビッシュとコミュニケーションを取ったダークホース的存在の大城卓についても、侍ジャパンの中には「下馬評では高くなかったにもかかわらず、フタを開けてみれば17年の第4回WBCで打ちまくって大暴れし、正捕手の座をつかみ取った巨人・小林のようなラッキーボーイになるのではないか」と予想する声もある。

 17日からは宮崎の地で3捕手のシ烈な〝内なる戦い〟が幕を開けることになりそうだ。