たまたまというわけではなさそうだ。阪神は第2次岡田政権下で初の対外試合となった15日の楽天との練習試合(沖縄・金武)に16―1で大勝した。投げては先発の桐敷をはじめとした5投手が最少失点でリレー。打っては3回までに12点を奪い、7回には4年目の井上が代打で3ランを放つなど計14安打の猛攻を見せた。投打とも申し分ない内容に、さすがの岡田彰布監督(65)も「そらまあオマエ、こんだけ打って点を取ってくれたわけやからな。そんなに悪いとこないよな」と相好を崩した。

 開幕のDeNA戦(3月31日、京セラドーム大阪)まであと44日。チーム内の雰囲気も日に日に〝本番モード〟へと切り替わりつつある。選手たちと一定の距離を取り続ける岡田監督だが、春季キャンプに入って以降はコーチ陣の組み立てた練習メニューや選手個々の調整過程に苦言を呈するシーンも増えてきた。百戦錬磨の指揮官の言動は選手たちにも〝圧〟として伝播し、緊張感を高めている。

 キャンプ地を視察して回る他球団スコアラーや球団OBは「守備練習での雰囲気や緊張感は、去年までとはまるで違う」と一様に口をそろえる。2000年代前半に現役として阪神に在籍したOBは「今の阪神には星野監督(02~03年)の頃を思わせる緊張感がある。あの頃はシートノックひとつにしても『ミスをしたらすぐに二軍に落とされる』という怖さがあった」と切り出し「選手たちの積極性を重んじ、ミスを決して責めることのなかった矢野前監督の姿勢は多くの若手の成長を促し、世代交代の成功につながった。岡田監督はそこをうまく引き継ぎ、チームにいい意味での圧を加えてくれている。今年の阪神には本当に期待できる」と声を弾ませる。

 この日4打数3安打4打点と大暴れの佐藤輝も「結果が出たのは良かったですが、最後の打席なんかでも甘いボールを中飛にしちゃた。そういうのをしっかり捉えられるようにやっていきたい」と浮かれることなく自身の課題と反省点について真っ先に言及した。緊張の春の先にこそ、秋の歓喜と美酒が待つ。