ソフトバンク陣営では、正月を挟んでFA補償の行方に注目が集まっていた。戦力流出に気をもんでいたことは想像に難くないが、その一方で、常勝再建と育成拡大の二兎を追う球団ゆえの難題にも直面していた。
日本ハムからFA加入した近藤健介の人的補償で、田中正義の同球団への移籍が決まった。これで支配下枠は67人。球団は3年ぶりのV奪回へ向けて、年明けにも前レンジャーズの有原を獲得するなど大型補強を敢行した。
もしも日本ハムが「人的補償なし」を選択して金銭補償のみを求めていれば、支配下68人となっていた。Xデーを前にチーム内でこんな声があったのも事実だ。
「日本ハムの編成上、人的補償で投手を獲得すると見るのが自然。ただ、フタを開けてみなければ人的なのか金銭のみかは分からない。仮に人的補償なしだった場合、1月の段階で支配下が残り2枠になるのは、育成選手のモチベーションを考えると気がかりではある」
来季が新庄体制2年目で優勝を狙う日本ハムが、純粋な戦力獲得を望んだことで、ホークスの残り支配下枠は「3」となったが、総勢54人の育成選手を保有するチームにとっては多くはない数字。シーズン開幕後の有事に備えた補強枠も必要で、今季から球界初の「四軍制」がスタートし、昨年から育成契約で獲得した有望な外国人選手を自前で育てる試みにも力を入れている。
育成外国人からも「昇格例」を出すことが、後に続く選手のモチベーションにもつながる。これまで育成入団から球界最多12人の支配下登録選手を輩出。千賀滉大や甲斐のような立身出世を夢見る若手で今もあふれている。選手の希望、目標を保つのは「三軍制」創設時からの難題で、育成選手たちは登録期限と枠の数を指折り数えて厳しい競争に向き合ってきた。
この春、ホークスで支配下昇格を目指す選手たちの現実は、例年になく厳しい。












