名将が有終の美を飾った。第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の復路が3日に行われ、駒大が10時間47分11秒で2年ぶり8度目の総合優勝。出雲駅伝、全日本大学駅伝に続く頂点取りで、チーム史上初の3冠に輝いた。

 集大成の大一番で成果を証明した。〝平成の常勝軍団〟として大学駅伝界を引っ張ってきたが、2018年大会ではシード落ちを経験するなど、不遇の時代を過ごした。指導法に行き詰まった大八木弘明監督は、選手とのコミュニケーションを重視する方針に転換。「私が若かったときはほとんど一方通行だったけど、子供たちが変わってきたので、6~7年くらい前から親子みたいな感覚も必要かなと」と当時を回想する。

 かつては「鬼」として選手たちを熱血指導。数々の好成績を収めてきた一方で、今の時代の子供たちには通用しない。「こっちから問いかけないと難しいなと。今はいろんなことを話しかけるようにして、私だけで決めるのではなくて、選手にも考えさせながら実行する。疑問を持たせることの大切さをテーマにやっている」

駒大の選手たちと肩を組んで記念撮影する大八木監督(右)
駒大の選手たちと肩を組んで記念撮影する大八木監督(右)

 大八木監督の教え子で国学院大の前田康弘監督が「カロリーじゃない方の熱量がどの指導者よりも上回ってる」と明かすように、陸上への思いは誰よりも強い。今季は昨年4月に4年生が「3冠を取りたい」と宣言。選手の思いを感じ取った大八木監督も「私もそういう気持ちで今年1年やらなくてはいけない」と覚悟を決め、対話を重ねながら史上最強のチームをつくり上げた。

 そんな大八木監督は「選手たちには感謝しかない。本当によく箱根駅伝を走ってくれた」と感謝しきりの様子。優勝会見後に「私事なのですが、今年で監督を多分退きます。藤田(敦史ヘッドコーチ)と交代します」と退任の意向を示したが、名将が築いた歴史は次世代に受け継がれていく。