今季、球界を代表する安打製造機がNPBの第一線から退いた。生涯打率3割2厘、通算2186安打を誇る内川聖一内野手(40)だ。新たな野球人生の第一歩として選んだのは故郷の独立リーグ「大分B―リングス」での〝現役続行〟だ。稀代の天才打者は、どんな思いでこの道を選んだのか聞いた。
――NPBで引退表明してからの独立リーグ入り。決断は悩んだか
内川 そこは全然難しくなかったです。まずは野球をするのか、どうかというところ。最初は周りも「本当にあいつはまだ野球をやる気があるのか」というのを探ってもらってたところがあったみたいで。やるという意志を聞いて、いくつか声をかけてもらった球団がありました。その中で、どういう思いで最後、野球をやるところを選びたいかというだけでした。
――故郷大分のB―リングスを選んだ
内川 最終的に生まれ育った場所で、知人も、友人も、まだ野球をやってるところ見たいと言ってくれる人がたくさんいる中でやりたいという決断になった。引退してどうするのかという時に、やりたいことがたくさんあった。大きな目標として何をするのかというのが絞り切れていなくて。近々では野球をやりたいというのが自分の気持ちだった。将来的に教える立場になった時には自分がやっている感覚だけではよくないだろうし、プレーしながらでも外からプロ野球を見て勉強させてもらいたいなという思いもあった。その両方をかなえさせてもらうB―リングスには感謝しながらプレーしたいですね。
――NPBを目指す選手にとっての「基準」になりたい、と
内川 40歳ですけど、こんなにロングティーで飛ぶよとか、打撃練習をこんな感じにするんだよとか。基準として見せてあげたい思いがある。誠也(カブス・鈴木)が初めて自主トレに来た時に「内川さん、そんなに飛ぶんですね」と驚いてくれた。NPBの選手でも、そうやって基準を変えることができるんだと思った時に、もっと大きな衝撃を与えられる可能性があるんじゃないかと。
――今季も二軍では打率3割3分5厘、4本塁打、31打点の成績だった
内川 難しいのはファームで結果を残したからといって、一軍で打てるかどうかは別の話だと思うんですよ。球のコントロール、キレも違うし、持っている球種の質も全然違う。でも、二軍でそれだけやれたのはちょっと自分の中で自信になっているところもある。
――圧倒的な数字を残せば注目も集まりそう
内川 興味あるかなあ(笑い)。でも、そういうことを期待してもらうのはありがたいです。NPBみたいに連日試合がないというのが難しいけど、結果も残したいという欲は強いので。1月もきちんと自主トレをやるつもりだし、きちんとした状態でチームに合流しないといけないなという責任は感じてますね。
――腹いっぱいになるまでプレーしたい
内川 プレーする球団としては最後になるでしょうね。何年プレーヤーとしてやってくれと言ってもらえるかは分からないし、自分の中で何歳までやる気になるか分からない。NPBでも何歳までやりたいとかはなかった。1年、1年やった結果が22年だった。その心境と変わらないですね。
――現時点の夢は
内川 夢…。なんだろう。でも、自分の気持ちに真っすぐに、自分の心が向くほうに生きていきたいですね。自分の心がもうそろそろ指導者だなと思えば指導者になりたいと思うし。その時にできることしっかりやっていきたい。今はプレーヤーとしてやりたいという思いがあった。結果や数字と戦いながら、自分自身の技術の部分を突き詰めながらやってきた野球人生だった。終盤になって楽しいなと思えたところがあった。これからNPBを目指す若い選手たちと一緒の舞台で野球ができることにワクワクしています。
――トッププレーヤーが地元に戻って還元するという今回の決断が独立リーグの「意義」として大きなプラスになるとの声もある。
内川 大分で生まれて大分で育った。年々「大分で良かったな」という気持ちが強くなっているのが正直なところ。だからこそ野球を始めた地で野球を終わらせたいという気持ちになった。こういう野球への向き合い方もあるよというのを僕自身がやることで感じてもらうとプラスになるかもしれない。
――2023年は大分を熱く盛り上げる
内川 僕自身がどれだけ影響力を持ってるか分からないけど「内川、やるらしいね」とB―リングスの名前が出たり「今日、出るらしいよ」「行ってみようか」となってくれたらうれしいです。













