2022年、ソフトバンクで衝撃のニュースとなったのが「熱男」こと松田宣浩内野手(39)の退団だった。
入団からホークス一筋17年。ベテランながら誰よりも懸命に声を出し、後輩選手からの人望も厚いチームの顔だった。ただ、今季は開幕サードでスタートしたものの、チームとしての世代交代の流れもある中で出場機会が激減。9月7日に球団から構想外を伝えられ、翌日に登録抹消された。
「引退か、退団か」の決断を迫られた中で「まだまだ野球が大好き。自分から辞めるという決断には至らなかった」と他球団での現役続行を表明。その後、巨人からの熱いオファーを受けて晴れて移籍となった。
ソフトバンク最終年。成績自体は43試合の出場にとどまるなど本人にとっては不本意なものだった。しかし、チームに残した財産は大きかった。
2020年の途中まで815試合連続で出場し、昨季も115試合に出場していた選手だ。今季はもどかしさを抱え続けてのシーズンだったが、それでも一軍のベンチを温めながらも〝熱男〟としての姿は変わらなかった。
松田本人は「試合に出ていても出ていなくても、プロ野球選手である時はそういうスタイルでユニホームを着ているので」。こう涼しい表情で話していたが、周囲は「思うところはあっただろうし、葛藤もあったはず。それでもしっかり準備をして、声を出して変わらない姿を見せてくれていた。なかなかできることではない。他選手のお手本となる姿だった」(チームスタッフ)と振り返る。
登録抹消されて以降の二軍でも全く変わらなかった。その姿は今まで接点の少なかった育成選手を含めた若手に刺激を与えた。実際、試合後のヒーロースピーチで「松田さんが来てから本当に明るく元気にやれている。松田さんのようになれるように頑張りたい」との声も聞かれるなど大きな影響を生んだ。
何よりの証言者が小久保裕紀二軍監督(51)だろう。厳格な二軍指揮官がこうも口にした。「一番やってはいけないのが野球に侍ジャパン用と、ペナントレース用、二軍用と分けること。二軍では一軍でやっているようなひたむきさを出さなかったり、知らずのうちに分けている選手もたくさんいる。僕は最後一緒にやらせてもらって、筑後(二軍)の3週間も見てきたけど、彼はどこでも一緒だった。野球に対して、けがれのない姿で取り組んでいた。それは彼のチームに残してくれた財産だと思う」
松田は退団セレモニーが行われた10月1日の二軍戦の前に、チームの未来を担う若手選手たちにこうメッセージを伝えている。「野球に勝つためには元気を出したり盛り上げたりということが大事と思った選手がいたら、それを受け継いでいただいたら幸せです。明日からやろうと思った人が、やっていただけたらうれしいです」
巨人には戦力として求められて移籍する。もうひと花咲かせるべく、大暴れする覚悟を決めている。スタイルは一切変えず自然体で臨む。その姿が新天地でも好影響をもたらすはずだ。
わずかな期間になったとはいえ、その〝熱男イズム〟は若鷹ナインにも引き継がれている。












