今季限りで現役を退くJ2横浜FCの元日本代表MF中村俊輔(44)が、代名詞のフリーキック(FK)に抱いていた思いとは――。

 10日に神奈川・横浜市内で行われた引退会見では、シックなスーツに身を包んで登場。現役ラスト試合となった23日の熊本戦から2週間以上がたったが「チームは練習を続けていて、僕も練習試合にも参加したので、引退はこれから実感していくのかなと。仲間からは『あの人来年もやるんじゃないの?』という雰囲気になっています」とニヤリ。今もボールと向き合っているという。

 中村といえば、J1歴代最多記録となる24本のFK弾をマーク。セルティック(スコットランド)時代の2006年には、欧州チャンピオンズリーグのマンチェスター・ユナイテッド戦で敵地、ホームともに得意のFKを決めるなど、黄金の左足で数々の歴史を作ってきた。

 その一方で、当の本人は「それ(FK)だけって言われるのは嫌だったので、意識したのはプロに入ってから」と明かす。だからこそ「試合を支配する力とか、ドリブル、パスと、ちょっとしたおまけみたいな感覚でやってただけ」。全ての分野でスキルアップを目指してきた中でも「気づくとFKが残ったというのは、自分でも不思議な感じだけど、やっていてよかった」と笑顔で振り返った。

 ただ、当然〝信念〟は持っていた。「PKと同じくらいの感覚で決める意識はあった。蹴ったら必ず入るという状況をチームメートにも見せて信頼してもらうというのは、こだわりだったかもしれないですね」。プライドを胸に駆け抜けた26年間のプロ生活。ファンタジスタの雄姿は、永遠に語り継がれていく。