名伯楽が燃えている。新たに巨人に加入した久保康生巡回投手コーチ(64)が8日、宮崎秋季キャンプで若手投手陣に熱血指導を行った。これまで近鉄や阪神などで幾多の名投手を育て上げた同コーチだが、盟友でもある同級生の原辰徳監督(64)からは「特命」を託されていた。

 首脳陣が回遊魚の如くブルペンを動き回った。原監督は投球練習が始まるとブルペンに姿を現し、選手一人ひとりに指導を開始。中でも赤星には「特徴を持たないと」と、打者を惑わすため投球時に視線を切るしぐさを伝授。時には自ら打席にも立ちながら、ブルペン入りした全投手にアドバイスを送った。

 そんな指揮官の傍らでともに指導を行っていたのが、新たにチームに加入した久保コーチだ。4日にチームに合流して以降、投手陣への指導を積極的に行い、体を左右に揺らすことで重心移動の基礎をしみ込ませる〝やじろべえ理論〟を展開。ある若手投手は「こんな考え方もあったのかと思いました」と目からウロコ状態だった。

 久保コーチはこれまで近鉄や阪神、ソフトバンクなど国内外のプロ5球団で指導者としてユニホームにそでを通し、岩隈やメッセンジャー、能見など第一線で活躍した投手を数多く指導してきた名伯楽としても知られる。新たに巨人に加わった今回も、本人の日程の都合上、限られた時間の中で投手育成に注力しているが、そのほかにも「後進の指導者育成」の特命が指揮官から課せられている。

 現在、チーム内には山口投手コーチや杉内三軍投手チーフコーチ、青木二軍投手コーチなど指導者としては比較的経験が浅いコーチが数多く在籍。原監督は近年、選手だけでなく若手コーチ陣の成長についても関心を寄せており、そんな中で「指導者の指導者」として白羽の矢が立ったのが久保コーチだった。

 同コーチ自身も「自分が伝えたことを、その選手が指導者になった時にまた若い子たちに伝えていってくれる。(阪神時代のまな弟子の)安藤や福原、能見などがそうです。それが大事なこと。山口コーチなどとも話をさせてもらったりしています」と使命感に燃えていた。

 熟練指揮官と名伯楽は同郷・福岡の同学年で、お互いに「たっちゃん」「久保ちゃん」と呼び合う仲。「『(就任時には原監督から)久保ちゃんの好きなようにやってもらっていいから!』と言われました(笑い)。自分ができることはしっかりやっていきたいです」と明かす久保コーチは盟友から全幅の信頼を寄せられている。

 久保コーチは「己を知ることで弱点を把握できる。じゃないとプロで長く続かなくなるからね。できるだけ長く野球でお金を稼げるようになってほしいですから」と秘めた思いを告白。指揮官の意志をくみ取り、若手選手&コーチの育成に尽力していく覚悟だ。