単なる「やじ将軍」ではなかった。巨人・大久保博元打撃チーフコーチ(55)が〝デーブ色〟全開だ。宮崎での秋季キャンプでは、午前6時30分開始のアーリーワークをはじめ若手を徹底的に鍛え上げているだけでなく、持ち前のマシンガントークが爆発中。底抜けの明るさのおかげでチーム内に漂った停滞ムードも一変したが、無差別にも聞こえる〝ガヤ口撃〟には確固たる使い分けが存在するという。
〝デーブ改革〟は着々と進んでいる。今回のキャンプではレギュラークラスの坂本、ウォーカーを除く若手野手に、通常の全体練習とは別に「1日2000本のスイング」と「チーム打撃向上のための15の課題」のノルマが課された。肉体的な疲労がたまる前者はもちろんのこと、進塁打やスクイズなど15個の打ち分け課題のうち1つでも失敗すると最初からやり直しとなる後者のメニューは難易度が高く、多くのナインが苦戦を強いられている。
ノルマクリアのためには練習時間が足りないため、早朝から始まるアーリーワークも連日実施。体力&技術向上のためにハードトレで体を鍛え上げる、まさしく「地獄のキャンプ」となっている。
一方で、厳しさの中にも「ユーモア」は存在する。バットを無心に振り続ける選手たちへ、大久保コーチは持ち前の明るさを生かして〝ガヤ口撃〟。首脳陣からの期待も大きい広岡が打撃練習をしていた際には「もっと振れるでしょ~これじゃあ『坂本2世』のまま終わっちゃうよ~!」と発奮させると、出身地・茨城の後輩である菊田が練習中にへばりだせば「県人会の恥だ! ごじゃっぺ(まぬけなどの意)!」と同郷の方言を交えながらゲキを飛ばした。
一見するとただのガヤに思えるが、決してそうではない。大久保コーチは「ほわ~んとしている子はガシガシと鍛えたほうが伸びる。逆に気が弱かったり僕みたいに褒められて伸びるタイプの子には甘くしちゃう(笑い)」と、対象選手の性格や状況によって言葉選びを使い分けていることを告白。実際に、控えめな性格で原監督の後輩でもある東海大出身の育成捕手・亀田には「大学どこ出てるの? 東海大? いい大学だ! ならもっと振れるだろ!」と褒めながら尻を叩きやる気を引き出した。
選手の個性も十人十色。ひとり一人に合った言葉選びをすることで、そのポテンシャルを最大限引き出すことに成功している。面白おかしくやじを飛ばしているだけではなく、デーブ流の狙いがそこにはあった。












