世界一奪還のカギはまさかの…!? 栗山英樹監督(61)率いる侍ジャパンは6日に東京ドームで巨人と強化試合を行い、8―4で逆転勝利した。ただ、あくまでも本番は来年3月に開催されるWBCだ。日の丸を背負う重圧は、監督経験がいくら豊富でも別格。2009年WBCで世界の頂点に導いた巨人・原辰徳監督(64)もその一人で、知られざる大ピンチをあるアイテムに救われていた。

 試合は2点をリードされた8回から村上(ヤクルト)の2打席連続本塁打などで6点を叩きだして逆転。栗山監督は「今日は個人の力というか本当にいいホームランでチームを勝たせてくれた。試合をやるたびにいろいろな課題が出てくる中で、ビハインドになるゲームもあると思うので何とかしないといけない。反省材料はある」と指摘した。

 日本ハムで10年間の監督経験を持つ栗山監督ではあるが、やはり日の丸の重みは想像を絶するものがあるようだ。それを証言していたのが来季で巨人監督通算17年目を迎え、09年に侍ジャパンを率いた原監督だ。最終的には決勝で宿敵の韓国を破って世界一に輝いたが、百戦錬磨の将も人知れず突然の変調に見舞われていたという。

 同年3月5日に行われた第1ラウンド初戦の中国戦(東京ドーム)の試合開始直前だった。

「プレーボールまであと5分くらいという時に『ウーッ…』って胃が痛くなった。生涯忘れられない」

 数々の修羅場をくぐり抜けてきた原監督をもってしても、想像すらできなかった展開だ。そもそも、ちょっとやそっとのことで緊張などしない。現役生活で最も緊張したのはプロ1年目の宮崎春季キャンプで、初めて臨んだシート打撃だったそうで「やっぱり注目される。結果も出さなきゃなとすごく緊張した」と懐かしむ。

 そんな恐るべき強心臓の原監督を襲ったWBCでのアクシデント。この窮地をどうやって乗り切ったのか。

「(ベンチ裏へ)胃薬を飲みに行った。胃薬が効いたのか、(球審の)プレーボールを聞いたからなのか。すぐに治った」

 胃薬効果か、試合開始と同時に戦闘モードに入ったからなのかは定かでない。しかし、原監督でも異常をきたすのがWBCだ。もしも胃の激痛が治まらずに集中力を欠き、采配や判断を誤っていれば初戦ではずみをつけられず、世界一になれなかった可能性もゼロではない。

 世界の大舞台で初めてタクトを振る栗山監督にとっても人ごとではないだろう。この日の試合前には原監督のもとへ駆け寄り、20分以上も言葉を交わした。試合後には原監督から「彼ほど経験値を持った野球人は少ない。頼もしいし、思い切ってやってきてもらいたい」とのエールが送られた。

 備えあれば憂いなし――。栗山ジャパンでも原監督を救った胃薬を常備しておくのも一手かもしれない。