燃える闘魂の代名詞がよみがえるか――。1日に心不全で死去したアントニオ猪木さん(享年79)の追悼セレモニーが、10日の新日本プロレス・両国国技館大会で行われた。団体創始者とリング上での再会がかなわなかったエース、オカダ・カズチカ(34)は新たな決意を独白。木谷高明オーナー(62)も猪木さん追悼大会として行われる来年1月4日東京ドーム大会で「1、2、3、ダーッ!」を復活させるべく、会場に陳情する意向を示した。
猪木さんの追悼セレモニーは両国大会開催前に行われた。所属選手たちがリングを取り囲む中、坂口征二相談役が遺影を手にリングイン。10カウントゴングが鳴らされ、会場に往年の入場テーマ曲「炎のファイター」が響き渡った。
猪木さんの死後、沈黙を貫いてきたオカダは涙ながらに「『バカヤロー!』っていうのが最初(の感想)ですけどね。見に来てくれよって思いがあったので…」と無念の思いを明かした。
2017年に放送された「プロレス総選挙」(テレビ朝日系)で猪木さんと初対面し、20年2月の札幌大会を皮切りにリング上での再会を熱望。その願いはかなわなかったが、今年1月4日東京ドーム大会で猪木さんが登場したVTR内でも名前を出されるなど、思いは確実に伝わっていた。
オカダは「猪木さんの記憶に残っているレスラーとして、僕が一番若いレスラーだったんじゃないかなと。逆にそこに残せてよかった。僕のプロレス人生において、猪木さんに会えたのは悔いのないようにできたのかな」と神妙に語った。
さらに「(行動してなければ)たすきを受け取れてなかったかもしれないですし。それは僕に限らずですよね。いろいろな人たちがつないできているわけじゃないですか。それが新日本プロレスだと思いますし。僕もいつか、たすきを渡さないといけない。そこには猪木さんの名前が刻まれていないと」と、新日本50年の歴史の中で受け継がれてきた〝闘魂のたすき〟を重く受けとめた。
追悼興行となる1・4ドームではIWGP世界ヘビー級王者ジェイ・ホワイトに挑戦する。オカダは「しっかりお見送りできたらいいなと」と必勝を誓いつつ、団体のさらなる発展を目指す。
「猪木さんがつくってくれた新日本プロレスという家を、どんどん大きくしていかないといけない。これからレジェンドが増えていくと思いますし、そういう人たちが帰って来やすい状態にしたい。猪木さんの家を大事にしていく、もっともっと広めていくのが使命なのかなと思います」
木谷オーナーも追悼興行について「恥ずかしくないように送りたい」と言い、すでに企画・演出を検討中だという。そんな中で一つの焦点は猪木さんの代名詞「1、2、3、ダーッ!」だ。
新型コロナウイルスの影響により、スポーツイベントは声出し応援が規制されている。現在は会場によって一定条件を満たした上で可能となってきてはいるものの、会場内での〝大合唱〟ができない状態が長らく続いている。
しかし、木谷オーナーは「確かにやらなきゃダメですよね。不可欠だと思います。『1、2、3』は言わないで『ダーッ』だけでも(声出し可能か)交渉の余地はありますよね。東京ドームだと民間だから交渉しやすいと思うんです。特別に陳情を? それは言ってみるべきですね」と明言。猪木さんのVTRを流すのか、選手やOB主導でやるのかは未定だが、「必要不可欠な儀式」として東京ドームに掛け合うとした。
「猪木の常識は世間の非常識」とも言われてきた。コロナ禍で強いられてきた〝常識〟は「1、2、3、ダーッ!」の掛け声で打破されるのか。猪木イズムは、最後の最後まで世間と戦い続ける運命なのかもしれない。












