前向きに語る「真意」は深い。ソフトバンクのエース・千賀滉大(29)は、かねて若鷹の〝突き上げ不足″を嘆いてきた一人だ。優勝に王手をかけながら、シーズン最終戦で屈辱的V逸を食らった秋。「あと1勝」ができなかったことを当事者として受け止めつつ、重圧のかかる試合で「裏目」が出る〝因果〟にあえて目を向けた。

 CSに向けて再始動した4日の投手指名練習、エースが口を開いた。「143試合の大きさを感じた。感想はすごくある」。逆転Vのオリックスと同じ勝率ながら、直接対決の差で2位終戦。王手直後の2連敗をクローズアップするのは短絡的だと理解している。ただ一方で、勝負どころで「表」が出ないのには理由があると感じている。

 重圧のかかる試合で結果を残してきた藤井と、終盤戦あらゆる局面を担った泉が打たれた。藤井は1日の西武戦でサヨナラ弾、泉は2日のロッテ戦で逆転3ランを被弾。千賀は当事者目線で振り返った。「今回あの2人が登板していたから抜かれるけど、自分だったかも分からないし、他の投手だったかも分からない。投手というのは、それだけ疲弊するポジション。投手は人の何倍もやらないといけないと昔からよく言われる。僕は改めて〝恐ろしいポジションだからこそ、日ごろから丁寧に練習に向き合うことの大切さ〟を感じた。若い選手は見て気づいたことが絶対にある」。

 局面での結果は、どこで差がつくのか。自問自答を繰り返して、育成選手から常勝軍団のエースにはい上がったのが千賀だった。あえて耳の痛いことを言う立場になって、なかなか後輩たちにメッセージが届かない状況に、歯がゆい思いを抱いてきた。藤井や泉という頭角を現した2人が受けた「痛み」だからこそ、それ以上に努力が必要な若鷹に響くものがあると信じている。

 局面に強い「一流」が一人でも多く出てこなければ、常勝の流れは途絶える。悲劇で終わらせるのか、ターニングポイントと捉えるのか。期待をかける若鷹たちとともに、前に進む。