柳田のために勝つ――。首位ソフトバンクは30日の楽天戦(楽天生命)に5―1の快勝。2位オリックスも勝ったため、優勝マジックは1つ減って「1」となった。
チームに大きな衝撃が走った。3―0で迎えた4回の守備で、柳田悠岐外野手(33)が右翼フェンスを越えた本塁打性の大飛球をかき出すビッグプレーの際に、後頭部や腰などをフェンスに強打。自軍だけでなく、楽天側のトレーナーも駆け寄る異常事態となった。柳田は顔をゆがめながらも自力で歩いてベンチへ退き、そのまま途中交代。試合中に仙台市内の病院を受診して脳振とうの疑いがないこと、むち打ちのような症状との診断を受けた。
よもやの緊急事態だったが、チームは主将の身をていしたプレーに発奮した。6回に貴重な中押しの14号ソロを叩き込んだデスパイネは「ギータが交代した分までカバーしようと、気合が入った」とナインの気持ちを代弁。
NPB通算150勝をアシストしてもらった和田は「(スタンドに)入っていたと思う。体で防いでくれた。柳田のことがすごく心配」と節目の白星よりも、主将の身を案じ続けた。勝利への執念を見せた懸命のプレーは、今季見せてきた柳田の「主将像」を体現したものだった。
語るタイプではない。背中で引っ張る男。実はチーム内でこんな証言が集まっていた。「今年、柳田が試合前に見せる顔は今まで見たことのないような表情で、声をかけるのも躊躇する」。勝つために集中力を高める姿、人生で初めて託された不慣れなキャプテンの重責を背負う姿が、ナインの士気を高めていた。
「恩人の藤本さんを何とか勝たせたい柳田と、その姿に心打たれた仲間たちが柳田を勝たせたいと思っている。この終盤にその思いが結集している」(チーム関係者)。
藤本監督は試合後、柳田について「ちょっと明日(の西武戦)は無理かも分かんない。しんどいかな」と言及。責任感が強いだけに無理は禁物だが、かねて自らを「侍」と重ねてきた男にチームを離れる意思はないはずだ。
優勝がかかる西武戦の先発は、柳田の盟友であるエース・千賀。心を揺さぶられない仲間は一人もいない。












