阪神が21日の巨人戦(東京ドーム)に6―1で完勝し、4連勝。宿敵巨人の本拠地で今季2度目のスイープを決め、最高の週末を虎党たちにプレゼントした。今カードの最大のハイライトは20日に先発登板し、待望の今季初勝利を挙げた藤浪晋太郎投手(28)。チーム事情もあり、一軍での出番に恵まれなった大器右腕には今オフから導入されることが決定的となっている「現役ドラフト」を活用した〝放出論〟も一部ではささやかれていたが、完全復活の気配を漂わせる文句なしの投球内容で、それらの議論を一掃する形となった――。
「8連敗という悔しい時期もあったが、チーム全体であきらめずに4連勝という結果を残してくれたことは大きい。これからもあきらめない野球を見せていきたい」。試合後の矢野監督のコメントからも、現在のチーム状態に対する手応えが伝わってくる。
コロナ禍で戦線を離脱していたリードオフマン・中野は、この日のゲームで4打数3安打2四球、5出塁の活躍。同じく、今カードから一軍に復帰したばかりの5番・大山も5打数4安打2打点とブランクを感じさせない打棒でチームをけん引した。4番・佐藤輝が5戦連続で打点をマークするなど、完全に復調モードへ突入していることも好材料だ。次週からは近本も戦線に復帰することが決定的。8連敗を喫した今月上旬の泥沼状態からは、完全に脱した感がある。
3戦とも投打がしっかりとかみ合った会心のゲーム内容だったが、その中でもチームにとって最大の収穫となったのが、20日に先発登板し、待望の今季初勝利を挙げた藤浪の力投だ。7回6安打1失点という投球内容もさることながら、前回登板の中日戦(13日、京セラ=7回4安打1失点)に続き、2戦連続で四死球0という結果を残した。長く課題とされた制球は終始安定。常時150キロ台中盤の球速を記録し、スプリット、カットボールなどの変化球もさえる圧巻の投球内容だった。
藤浪は2年連続で開幕投手を任されながら、4月中旬に新型コロナウイルスに感染した影響で戦線から離脱。その後は充実した自軍先発ローテ陣の層の厚さに阻まれ、長期間の二軍調整を余儀なくされた。先発業専念への強い思いを何度も公言してきた右腕は、ファーム・鳴尾浜でひたすらチャンスを待ち続けるしかなかった。
そんな状況を受け、複数の球界関係者たちが「藤浪のためにも、チームのためにも、球界全体のためにも、今オフから実施される予定の『現役ドラフト』を活用し、彼を阪神から放出する必要がある」と声を上げていたことも事実。だが、今回の快投劇が、それらの議論を一掃しそうだ。
球団OBも「メカニックが安定したことで制球が一気に良化した感がある。やはり彼は尋常ではない素材。チームのためになくてはならない存在であることを証明してくれた」と胸をなでおろした。
上位進出のための〝切り札〟を手にした矢野監督も「(藤浪の今季初白星は)めちゃくちゃうれしい。残りのシーズンも、晋太郎にはもちろん頑張ってほしい」と喜びの色を隠せない。2位・DeNAとは5ゲーム差。首位・ヤクルトとは9ゲーム差。シーズン最終盤の〝ドラマ〟の主人公にふさわしい男が、ついにステージの中心に立つ。












