東京五輪・パラリンピック組織委員会で理事を務めた高橋治之容疑者(78)が受託収賄容疑で逮捕された波紋が、ますます広がっている。五輪利権を握り、スポーツ界を意のままに操ってきた高橋容疑者。「俺は偉い!」と言わんばかりの横柄な態度には眉をひそめるスポーツ関係者も多かった。中でも大ブーイングだったのが、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和前会長に対する「呼び方」だった――。

 東京五輪・パラリンピックのスポンサー企業を巡る汚職事件で、紳士服大手AOKIホールディングス(HD)からの受託収賄の疑いで逮捕された高橋容疑者。これまで国際サッカー連盟や世界陸連と太いパイプを築き、2002年日韓W杯や東京五輪招致にらつ腕を振るってきた。国際スポーツ界を意のままに動かしてきた自信からか、その横柄ともいえる態度が〝悪目立ち〟し、これまでもスポーツ関係者からの評判はすこぶる悪かった。

「とにかく威張っていました。『スポーツ界で一番、俺が偉い』とでも思っていたのでは。我々が驚いたのは、竹田さんに対する呼び方。『おい、恒(つね)! 』ですよ。竹田さんがJOCの会長というスポーツ界のトップにいた時です。どんなに仲が良くても、人前では敬意を表さないのはおかしい」(高橋氏を知る競技団体関係者)

 旧皇族で東京五輪招致委員会理事長も務めた竹田氏は、高橋容疑者にとって慶大の後輩にあたる。確かにじっこんの仲であれば呼び捨てはおかしくはないとはいえ、公の場で役職にある人物に対し「恒!」呼ばわりは、周囲をドン引きさせていた。

 しかも、竹田氏は五輪招致を巡る贈賄疑惑でフランス当局の捜査を受け、19年に責任を取って長年務めたJOC会長を任期満了という形で退任。国際オリンピック委員会(IOC)委員も辞任している。この疑惑については、20年にロイター通信が高橋容疑者が招致委員会から820万ドル(当時のレートで約8億9000万円)相当の資金を受け取り、IOC委員らにロビー活動を行っていたと報道。高橋容疑者は疑惑の渦中にいたにもかかわらず、当時は大きな問題とはならなかった。「竹田さんだけが責任を取って、自分は関係ないという態度。人間性が出ますよね」(別の競技団体関係者)と後輩を突き放した姿勢に、今も非難の声はやまない。

〝高橋ショック〟がスポーツ界全体に暗い影を落とす一方で、心の中で安堵している関係者も多そうだ。