名伯楽か、それとも。巨人・桑田真澄投手チーフコーチ(54)の指導への評価が球界内で真っ二つに分かれている。24日の中日戦(東京ドーム)は育成出身の3年目左腕・井上温大(21)がプロ初先発。味方の拙守にも足を引っ張られて5回途中3失点(自責1)で負け投手となったが、今季の巨人は7人がプロ初勝利を手にするなど若手投手の台頭が著しい。一方でチーム防御率3・91は12球団ワースト。厳しい台所事情は頭痛の種となっている。

 手痛い黒星だ。最下位の中日に1―4と完敗。5位の広島がヤクルトに負けたため順位は4位のままだが、水底までは1・5ゲームしかない。プロ初先発の井上に大事なマウンドを託した原辰徳監督(64)は「今日は初めて(大城)卓三に『何とかうまくリードしてくれ』と託したんだけど。一生懸命やってはいたけど…」と悔しさをにじませた。

 井上は立ち上がりに連打され、助けなければいけない立場の捕手の大城が無死一、二塁から阿部の打席で後逸。直後に先制され、一死後には一、三塁の場面で二塁を狙った一走・阿部の挟殺プレーの間に三走・溝脇の生還を許した。

 そんな中、桑田コーチは井上について「先発は時間配分も大事でリズムやテンポにもつながるので、次回登板はその辺も改善してほしい」と課題を挙げながらも「良い球もたくさんありました」と評価。今季は選手に寄り添う姿勢を徹底し、これまでも途中降板した投手たちには「もう少し投げさせてあげたかった」「最低限の仕事はしてくれた」と必ずフォローしている。

 ただ、このスタイルには球界内からも様々な声が飛んでいる。ある球界関係者は「一軍は結果がすべて。時には厳しさも必要だし、チーフ格のコーチとしては『甘い』などと厳しい目を向けられるのは仕方ないのでは」と言う。実際、チーム防御率3・91は12球団ワースト。同347四球はリーグ最低で、課題の制球力は改善されていない。エース菅野の復帰登板となった16日のDeNA戦(横浜)では6回3失点で負け投手となったものの、桑田コーチは「僕はナイスピッチングだと思いました」と〝甘口〟なコメントをして物議を醸した。

 もちろん否定的な声ばかりではない。あるコーチ経験者は「正直、あれだけ一貫して選手側の立場になっているのはすごい。普通はカリカリして文句の一つも言いたくなるものだけど、それが桑田さんにはない。コーチがイライラしていると若い選手も気を遣っちゃうからね」と証言する。過去には原監督が「あれはね、面白い。こっちがカッカカッカしてても(高い声で)優しく『すいませ~ん』って言われると…独特の雰囲気を持ってるよね。潔く反省のところから入って、指導に入る」と評していたこともあった。

 泣いても笑っても残り27試合。〝仏の桑田〟が現状打破の切り札となるか。