ウソかまことか――。新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」Cブロック公式戦(26日、後楽園)で、EVILがKENTA(41)とのバレットクラブ(BC)同門対決を制した。初制覇へ好スタートを切った暗黒の王は、決勝戦(8月18日、東京・日本武道館)の相手に確執がささやかれるIWGP世界ヘビー級王者ジェイ・ホワイト(29)を指名。まさかの〝大団円予告〟を繰り出した。

 反則の限りを尽くした。セコンドのディック東郷を介入させて主導権を握ったEVILは、GAME OVER(変型フェースロック)に捕獲されてもSHOに場内を暗転させ脱出に成功する。

 怒りのKENTAに場外でイス攻撃を浴びて窮地に陥ったが、ひと足先にリングに戻ると再び東郷が介入。リングの下からKENTAの脚をつかんで生還を許さず、そのまま20カウントが数えられてリングアウト勝ちをものにした。

 今年は1月にNEVER無差別級王座を奪取するも、5月福岡ドーム大会でタマ・トンガに敗れベルトを失った。トップ戦線再出撃に向けて好発進したことで、早くも決勝戦について「戦いたい相手となれば、やはりジェイだな」と断言。BブロックにエントリーされているBCリーダーとの同門対決を見据えた。

 その言葉の裏にはさまざまな思惑が見え隠れする。ジェイがベルトを奪取した5月福岡大会では、試合後のリングをBCの面々がジャックしたが、EVIL率いる「ハウス・オブ・トーチャー」の高橋裕二郎、SHO、東郷は全員不在。かねてEVILとジェイに確執があったことから、一部では分裂説まで浮上していた。

 しかし、EVILは「本当は俺たちも行きたかったんだが、試合のダメージがあまりにも大きすぎて、メンバーに介抱してもらってたんだ。ジェイには悪いことをしたと思っている」と弁明。当日はタマに敗れノーコメントで会場を後にしたが、そんなに深手を負っていたのか…?

 ともあれジェイとの決勝を実現させることで、福岡で再燃した不仲説を一掃するつもりだ。EVILは「同じユニット同士正々堂々、恨みっこなしでやろうじゃねえか。俺が優勝はするけど、試合後は同じフレームに収まろうぜ。福岡でできなかったBC全員で集まってな」と、今度こその〝大団円〟を予告した。

 ユニット内で幾度となく衝突してきた犬猿の仲だけに、発言を額面通りに受け取っていいものなのか、はなはだ疑問だ。暗黒の王からのラブコールは本音か、それとも――。