新日本プロレスの内藤哲也(40)が、団体オーナーであるブシロードの木谷高明会長(62)に制御不能節を炸裂だ。コロナ禍で新日本が苦境にあえぐなか、7日の戦略発表会で木谷オーナーは涙の団体批判を展開し、ファンから拍手喝采を浴びた。しかし勝手に〝代打〟を名乗られた内藤はその主張を尊重しつつも、返す刀で禁断のオーナー批判を展開。突如勃発した場外乱闘の行方は――。
木谷オーナーはこの日の戦略発表会で、コロナ禍と苦闘してきた団体の努力を認めつつも「内藤選手いないんで、僕が代わりにちょっと会社批判していいですか」と切り出した。そして「僕から見てると、古い、遅い、固い、変化を嫌っている。今の日本と同じじゃないですか!」と団体の体質に斬り込んだ。
さらに、若手選手の活躍の場拡大、個性を重視したヤングライオン制の再考などを提言。最後は「プロレスファンの皆さんに夢とか勇気とか感動を与えて、生きる元気を得てほしいんです」と号泣しながら団体再建を誓った。
オーナー直々の迫真の訴えにファンからも拍手が起こり、業界盟主の逆襲に期待が高まった…と思われたが、やはりこの男が黙っていなかった。さも団体批判の名手のように名前を〝拝借〟された内藤だ。
本紙の取材に応じるや「言ってることがいいか悪いかは別にして、疑問をいくつも持ってるってことはそれだけ新日本のこと、プロレスのことを考えているんだなとは思いましたね。ただ、今日って経営者として戦略をお客さまに発表する場だったんじゃないんですか? 身内批判だったら、会議室でやってもらいたかったですね」とバッサリ斬り捨てた。
さらに、オーナーによる団体批判の違和感を主張する。「そもそもあなたがこの会社で一番偉いんですよね? 新日本が古くて遅くて固いなら、その責任の一端はあなたにもあるんじゃないですか? あれでは業績がよくなったらブシロードのおかげ、悪くなったら現場のせいと聞こえてしまいますよ」
思わぬところから新たな火種が生まれた格好だが、批判一辺倒で終わらないのが内藤の流儀だ。木谷オーナーの発言の重みは十分理解しているという。
「会社の危機感は伝わってきたし、お客さまの反応からは今後への期待を感じました。やらなきゃいけないなという気になったのは、発表会をやった成果の一つなんじゃないですか。俺もG1に向けてより気が引き締まりましたよ」と、真夏の祭典「G1クライマックス」(16日、札幌で開幕)へ決意を新たにした。
最後まで言いたい放題の内藤は「彼の発言もなかなか制御不能だね。なんだかんだで俺に憧れてるんだろうな…。G1を優勝したら、超高級ファミレスにでもご招待しましょうかね」と木谷オーナーに約束。天敵か、似た者同士か――ともあれオーナーへの反骨心も胸に、制御不能男が5年ぶりのG1制覇へ向かう。