南海、ヤクルトなどで監督を務め、昨年亡くなった野村克也氏の命日となった11日、最後の〝教え子〟であるソフトバンク・甲斐拓也捕手(28)がさらなる成長を誓った。
「19番をつけて恥ずかしくない姿を見せていかないといけない」。昨季はリーグV奪回と4年連続日本一を成し遂げ、押しも押されもせぬ名捕手となった甲斐だが、実は〝生みの苦しみ〟も相当だった。
シーズン序盤にチームが波に乗れず、敗戦の責任を背負い込むと同時に非難を一身に…。正妻ゆえの苦悩が一気に押し寄せ、パンク寸前に陥った。甲斐が「人間不信というか、周囲の反応に敏感になった」と振り返る時期だ。そんな時、野村氏の「言葉」が前向きな気持ちにさせてくれたという。
「無視、賞賛、非難」。人が成長する過程には3段階あって、非難されて一流――。高みに近づくにつれ、周囲が自分を脅威と感じ、ゆえに振るい落とそうとしたり、妬みを買って中傷する。高校時代から何度も野村氏の著書を読み漁り、すべて読破してきた甲斐にとっては一番苦しい時に恩師の言葉が蘇り、「非難イコール一流」と心得たことで前に進めたという。
尊敬する城島球団会長付アドバイザーからも同時期に「そこまでのレベルに来たからこそ見えることがある。今、その悩みに来ているんだ」と声をかけられ寄り添ってもらった。捕手のレジェンド2人の言葉が重なり「ここで踏ん張ったら、もう一つ上に行ける」と奮起できた。
宮崎春季キャンプでは連日、常勝軍団の正妻としての存在感を放っている。野村氏とは母子家庭の境遇などが重なり、生前最後まで目をかけてくれた。その感謝は一生忘れることはない。〝特別な日〟に決意を新たにした甲斐。天国にいる野村氏も喜んでいるはずだ。












