新日本プロレス14日(日本時間15日)の米国・ワシントン大会で、「ユナイテッドエンパイア」のグレート―O―カーンがチェーズ・オーエンズ(32)に国辱ものの大惨敗を喫した。

 本来だったらプロレスの本場・米国でシングルマッチを行う実力には到底及ばないオーカーンだが、そこは悪運だけで生き延びてきたプロレス人生。6月12日大阪城ホール大会ではジェフ・コブと組んでチェーズ、バッドラック・ファレ組の持つIWGPタッグ王座挑戦を控えている。恵まれたパートナーのおかげで生まれた因縁により、チェーズとの一騎打ちがPPVで組まれた。

 試合前からチェーズがベルトを誇示しているにもかかわらず、オーカーンはビビりまくって目も合わせられない。勝ち目もないのに日本からわざわざやってきた弱小レスラーに現地の観客は同情を禁じ得ず「オーカーン」コールで後押し。試合放棄だけはしてくれるなと促した。

 しかし当のオーカーンはスタンドプレーに終始し会場を失望させる。国内でも浸透してないのに米国のファンに伝わるわけのない「パンケーキホールド」を繰り出すなど救いようがない。モンゴリアンチョップを放つ際の耳障りな奇声は、もはや強制送還レベルだ。

 なんとかアイアンクローに捕らえてエリミネーターを狙ったが、狙った位置がロープが近かったためオーエンズにつかまれ阻止されてしまう。自分の必殺技を繰り出す際にポジションを確認しないなんて、ハッキリ言ってプロ失格だ。

 慌てて膝蹴りでオーエンズをロープから引き離し再度エリミネーターを狙ったが、完全にテンパってしまっているため動きが荒く話にならない。回避されて背後に回られると、横入り式エビ固めで丸め込まれてそのまま3カウントを奪われた。スピード、テクニック、インサイドワーク、清潔感、毛量すべてにおいて完敗だった。

 何を血迷ったのか必然の敗北を受け入れられないオーカーンは、オーエンズを追いかけ回しながら退場する往生際の悪さ。「そんなに余のベルトが巻けてうれしいか! そりゃそうだよな。どインディのドサ回りからバレットクラブにお荷物扱いされて、ずっと負け続けて、それで余からベルトを横取りできたんだ。だったらよ、いとしの恋人みたいに抱いて毎晩キッスをしながら寝てろや。大事に寝た夜の数だけ余が奪う楽しみをくれよ」と、現実世界での恋愛未経験者丸出しのコメントで虚勢を張った。

 女児救出報道で過大評価を受けてしまったオーカーンだが、レスラーとしてはまだ素材で環境次第で白くも黒くもなる。プロレスの国・米国の空気を吸うだけで高く跳べると思ったら大間違いだ。この調子で日米間を往来していても日本の恥をさらすだけで、両国の関係悪化を招きかねないと言っても過言ではない気がする。