〝野獣〟藤田和之(51)の変貌に、周囲が振り回されている。2月にGHCヘビー級王座奪取とノア入団を果たしてから、別人のように礼儀正しくなった藤田。これにV1戦(21日、福岡国際センター)で対する田中将斗(49)は激怒し、盟友の〝悪魔仮面〟ケンドー・カシンは困惑を隠しきれずにいる。一体、野獣に何が起きているのか。カシンとともに直撃した。

 変化を見せたのは2月、中嶋勝彦を撃破してGHC王者となった名古屋大会の一夜明け会見でノア入団を発表した際だ。これまで見せたことのない物腰低い態度で「これからは野獣ではなく、人間・藤田和之、ノアの藤田和之として生きていきたいと思っております」と〝人間宣言〟をした。

 続いて13日の横浜大会でも〝人間藤田〟として生まれ変わった姿を見せる。ファイトスタイルこそ荒々しいままながら、入退場時に深々と礼。試合後、V1戦を控える田中に詰め寄られても無言で深々とお辞儀で返し「何やあの態度は! このキャリアでこんだけなめられたことはない!」とブチギレさせた。

 変貌のワケを、藤田は「私は、人として当然のことをしているまでです。田中さんが怒っていた? 育ちがよろしくないんですね」とほほ笑む。隣で悪魔仮面が「藤田、どうしちゃったんだよ…」と頭を抱えるのに目もくれず「今後は〝ノアの長〟として団体を業界ナンバーワンに導けるように精進します」と誓う。

 カシンから「それって打倒・スターダムってこと? 観客動員数とか人気とか考えると、そういうことになるんだぞ? それだけの覚悟があるのか?」と問われ、深くうなずいた。

 立て板に水の野獣にカシンは大きく首を振り「こんな殊勝な藤田を見るのは20年ぶりだ…。1993年だったかな。レスリングの試合のためにアメリカに行ったら『階級を落とさないと勝てない』って言われて、100キロあった体重を落として82キロ級で出ることになった。でも全く落とせなくて結局、試合に出られなかった。こんな殊勝な藤田はあの時以来だ」とお手上げの様子。

 過去の恥エピソードを掘り返されても微動だにしない野獣は、13日から着用しているノアカラーの緑を基調にしたコスチュームを手に「緑を身に着けると力が湧きます。最近は暴飲暴食もやめたんですよ」と話した。

 取り付く島もない野獣を前に、カシンは肩を落とす。そして「次の福岡大会で藤田君が元に戻ってくれるのに期待するしかない。博多と言えば前回(昨年3月)行った時は、2時間(酒を)飲みっぱなしでもつ鍋を5人前食べた後、帰りに大盛りラーメンを平らげた場所だから。博多の街が藤田君を元に戻してくれるはず」と期待を寄せた。

 美食の街・博多で野獣は元に戻るのか。いや、そんなことよりもブチギレている田中とのV1戦はどうなるのか。目の離せない福岡決戦となりそうだ。