新日本プロレス「NEW JAPAN CUP」2回戦が12日愛知大会で行われ、ユナイテッドエンパイアの偉大なる支配者グレート―O―カーンが石森太二(39)を処し、事実上の初優勝を手中にした。

 その圧倒的な強さから一部で優勝候補最右翼と目されるオーカーンは、1回戦で対戦が予定されていた飯伏幸太の復帰が叶わなかったため、不戦勝で2回戦に進出。支配者の公式戦が見られないことは帝国民にとってフラストレーションでしかなく、オーカーンが本戦に登場するまでのNJCなど予選同然と見る声も散見されていた。

 ついにこの日が待望のNJC降臨となったオーカーンは、ジュニア戦士・石森の左腕一点集中攻撃に苦戦を強いられ、よもやよもやだ。ミスティカ式イエスロックからボーンロックに移行されるなど、思い通りにいかない展開が続く。

 しかし、まだあわてるような時間ではない。冷静沈着なオーカーンはロープエスケープに逃れると、ブラディークロスを阻止して大空スバル式羊殺しで捕獲。今年の1月5日東京ドーム大会でついに会場観戦に訪れたスバル姫本人を魅了した妙技で形勢逆転に成功し、バックブリーカーを加えたホロバージョンまで披露する出血大サービスだ。

 初発のエリミネーターこそ回避されて石森に十字固めで丸め込まれたが、向かってくるなら手加減できねえ男だ、オーカーンは。ジャンピングニーをかわして再びアイアンクローで捕獲すると、石森の急所攻撃もリカルド・マルチネス級のディフェンス能力で回避。最後は「グッバイ、タイジ・イシモリ!」とばかりにエリミネーターで叩きつけ、問答無用の3カウントを奪った。

「どうだ、体格差を使わずに処してやったぞ、ハハハ! これで石森がジュニアヘビーのチャンピオン様になった時には、石森様から余に挑戦してこれるな? よかったな、挑める理由ができて。チャンピオンから、余の方に。もちろんこの体重のままやらせてもらうぞ」と偉大な勝利を振り返ったオーカーンは、3回戦(17日、静岡)でザック・セイバーJr.との対戦が決定。昨年の「G1クライマックス」ではダブルリーチ一発放銃レベルの不運で敗戦を喫しており、是非もない雪辱機会だ。

「次はザックか? G1を思い出す。左手も痛えしな。次は金的だろうとイス攻撃だろうと、何がなんでも貴様からタップアウト取ってやるさ。それと、飯伏幸太、どこだ?」と各方面に火の粉を飛ばすそのコメントは、まさにプロレスラーの鑑と呼ぶにふさわしいような気がしてならない。

 ともあれこの日の内容を見てもオーカーンのNJC制覇はもはや既定路線。史上最大48選手がエントリーした今回のトーナメントも、ここまで傑出した存在がいると「1強47弱」と言っても過言ではない気がする。