パ・リーグ首位を走るソフトバンクの来季の補強戦略に、超大物助っ人取りの可能性が浮上している。今オフに複数の助っ人の契約が切れる。さらに来季は東京五輪も控えている。期間中にペナントレースは中断されるものの、4人いるキューバ軍団は母国優先が想定される。今年もグラシアル、モイネロが母国の国際試合に出場するため、まもなく一時離脱する。

 いくら優良助っ人揃いとはいえ、キューバに完全に軸足を置くのはリスクが伴う。現在は米国大物路線での助っ人調査をしていると見られ、注目されるのが「世界戦略」の次なる一手だ。今季は大きな第一歩として5月末に昨年の米ドラフトで1位指名されたカーター・スチュワートを獲得した。

 直近の市場の動向は、前例のないサプライズ補強ができる好機。フロント幹部も思わぬ超大物取りの可能性について「我々は今回のスチュワートもそうだが、世界中でいい選手を探している。その点でいえば今の(米国の)マーケットの冷え込みというのはチャンスではある。(市場を)注視はしていく」と話した。

 昨今の米FA市場には大寒波が到来している。補強費が高騰する一方だったのが一転、買い叩く流れになっており浪人する大物も出ている。今年でいえば史上最年少で通算300セーブを挙げたクレイグ・キンブレル(31=現カブス)、2015年のサイヤング賞左腕ダラス・カイケル(31=現ブレーブス)。両投手ともドラフト後の6月まで未所属だった。

 スチュワートの例にしてもMLB側の資金の抑制が影響している。本人が「彼がいなければここに来ることはなかったと思う」と話したように、最終的には恩師でもあるスクルメタ駐米スカウトとの縁も大きかった。ただ、契機となったのは1位で指名された後の契約金の大幅ダウンだった。

 過去の超大物の来日も、市場の冷え込みが影響している。1987年に来日したヤクルトのボブ・ホーナーはバリバリの現役4番打者だった。それが年俸高騰のあおりを受けて、MLB各球団のオーナーがFA選手の締め出しを画策。契約が難航してヤクルトに入団した。

 来日後は“赤鬼”のニックネームで大旋風を起こし、規定打席未満ながら93試合で打率3割2分7厘、31本塁打、73打点と強烈なインパクトを残した。当時のテレビゲームでは、バントの構えで本塁打を放つほどだったが、そんな超大物が再び!?

 もちろん、簡単なことではない。球団フロントは「現実的にはバリバリの大物選手に、なかなか日本球界が選択肢として入らないところもある。加えてビッグネームでも1年で帰ってしまうならば、獲得すべきなのかどうなのかも出てくる」とも話す。米国の代理人の思惑も絡んでくるだろう。

 とはいえ、かねて孫オーナーは「目指せ世界一」を掲げており「バリバリのメジャーリーガーは獲れないものか」と球団に投げかけたこともあった。「チーム、球界にとってプラスになるなら、どんなことでもチャレンジしていこうというのが球団のスタイル」(球団関係者)

 スチュワート同様、条件さえ整えば…アッと驚く“令和のホーナー”の入団も夢ではない。