もう一度「アイ・アム・ノア」を叫べるか。東京スポーツ新聞社制定「2021年度プロレス大賞」で年間最高試合賞(ベストバウト)に輝いたノアの潮崎豪(40)が完全復活への思いを語った。昨年2月12日に日本武道館で行われた武藤敬司とのGHCヘビー級王座戦で同賞を初受賞。その試合に敗れた後、「右上腕二頭筋腱脱臼」の手術を受け、9か月の戦線離脱を余儀なくされた豪腕が目指すものとは――。

 ――改めてベストバウト受賞の感想は

 潮崎 正直「負けた試合で」という思いはありますけど、試合を評価していただいたっていうのは感謝しています。負けたのは悔しいですけど、武藤敬司の懐の深さを知ることになりました。

 ――この試合の後、昨年3月から12月まで欠場した

 潮崎 ベルトを防衛していく中で右肩に違和感や痛みを感じたり、力が入らなくなっていったんです。武藤敬司との試合では、雪崩式ブレーンバスターを狙った時に支えきれなくて途中で落ちてしまった。その時に「このままじゃいかんぞ」と思ったんです。相手を不意にケガさせてしまう可能性を感じた。

 ――厳しいリハビリだった

 潮崎 当初、全く動かなくて「戻れるのかな」という不安はきましたね。キャリアの終焉についても考えた? 思うように体が動かなくなって引退なりも考えたんですけど、それ以上のケガの状態でやっている選手もいるので。ケガに負けない体をつくって試合をしている人もいます。それを考えた時に「自分はちっぽけなことを考えているな」と思いました。

 ――ケガを克服して

 潮崎 最後まで走り抜けないと、欠場で迷惑をかけた人や待ってくれたファンのみんなにも失礼だし。生涯現役です!

 ――復帰後、1日の日本武道館大会では中嶋勝彦とのGHC戦で敗れた

 潮崎 元日の試合でタイトルマッチができたのはいいスタートだったのかなと。負けはしましたけどね。

 ――あの一戦を踏まえ2022年の目標は

 潮崎 今は封印してリング上で言いませんけど「アイ・アム・ノア」を復活することですね。言葉だけでなく、自分の生きざまとして。

 ――その意味で武藤、船木誠勝、藤田和之ら新日本プロレス出身の50代が目立っている現状は

 潮崎「ストップ・ザ・そういう方たち」っていうか。彼らを倒さないと「アイ・アム・ノア」と言えないですから。

 ――8日の新日本との対抗戦で感じたことは

 潮崎 新日本は新日本で素晴らしいし、ノアはノアで素晴らしいと思いましたよ。ただ、新日本は人気がある団体ということは覆らない事実。そこにある〝何か〟をノアが超えていかないといけないと思いました。

 ――そのために必要なのは

 潮崎 それこそ「アイ・アム・ノア」の復活ですよ。それをしないことには、ノアというものを外に見せていくことができないですし。俺がノアを引っ張っていきます。そして、今年は勝った試合でベストバウトを取ります!

【初のMVP取り誓う】潮崎の表彰は27日の後楽園ホール大会前に行われ、東京スポーツ新聞社・平鍋幸治取締役編集局長からトロフィーと表彰状が授与された。「19歳年上のレジェンドとつくり上げた昭和、平成のプロレスはオールドファンの心にも響き、現代の主流となったハイスピードレスリングに一石を投じるものだった」と称賛された潮崎は「次はさらに上のプロレス大賞を狙っていきます!」と殊勲賞、ベストバウトに続く初のMVP取りを誓った。

☆しおざき・ごう 1982年1月21日生まれ。熊本市出身。2004年7月24日のノア有明大会でデビュー。ヘビー級のホープとして期待されながら12年末に退団し、13年に全日本プロレスに移籍。16年6月にノアに再入団すると、20年はGHCヘビー級王者として団体をけん引し「アイ・アム・ノア」のフレーズを定着させた。必殺技はゴーフラッシャー。183センチ、110キロ。