【石原結實 食の金言】山芋(自然薯=じねんじょ)は、畑に植えられた長芋などの芋とちがって、山中の木の根や石、岩に邪魔されながら、土中にもぐり込み、曲がりくねって生えているので、山芋を掘るのは素人では難しいし、掘るのに慣れている人でも、「大変だ」「もう止めようかな」などとブツブツ文句を言いながら掘るのが常である。
よって「山芋を掘る」という諺は、「ブツブツと長時間にわたって小言、文句を言うこと」を意味する。特に「酒に酔って管を巻く」様子に使われる。
人間の下半身は、植物の根と相似する。
「老化は足から」と言われるように、年齢と共に、腰や膝が痛くなる、ふくらはぎがつる、小便がスムーズに出ない、夜間頻尿、インポテンツ…等々の下半身の力が低下した症状が表れてくる。よって、山芋はじめ根菜類は「老化」の症状に奏効すると漢方医学は考えている。「ゴボウ5時間、人参2時間、山芋たちまち」という俗言は、根菜類が、男の精力増強剤になることを表している。
山芋には、ジアスターゼ、アミラーゼ、カタラーゼ、グルコシダーゼなどの酵素が含まれているので、食物の消化を促し、栄養を高め、「ヌルヌル」成分で強壮作用のある「ムコ多糖類」と相乗して、滋養強壮効果を発揮する。
漢方では「(山芋は)胃腸の調子をよくし、腎臓の働きを強化し、耳・目もよくし、長寿が得られる」とされている。年月をかけて、固い土や石のゴロゴロした山肌を地中に向かって生育していく大量の「生命の気」を含んだ山芋を食べると、我々の生命の気も横溢してくるのである。
◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は「コロナは恐くない 恐いのはあなたの『血の汚れ』だ」(青萠堂)。












