【今週は天野秀夫氏】8月下旬の東京株式市場でにわかに物色テーマとして急浮上したのが「自動運転関連」だ。

 トヨタ自動車が8月27日、2028年をメドにAI(人工知能)を活用した自動運転システムを搭載した乗用車「レベル2++」を市場投入すると報じられた。これをきっかけに、トヨタ系ファンドも出資し今年7月に新規上場した東証グロースのティアフォー(593A)が急騰し、上場来高値の更新街道に入ったことが関連株人気を刺激する形となっている。

 エヌビディア、アマゾン、マイクロソフト、グーグルの親会社アルファベットなど米巨大テック企業も注力する自動運転は、国際的な開発競争が高まっている分野。トヨタが市場投入の指針を示したことで、国内関連企業に業績メリットを期待する流れが形成されてきた。自動運転関連株の中でもティアフォーと資本および業務提携し、株価低位の以下の3銘柄に活躍期待が膨らんでいる。

 東証グロースのダイナミックマッププラットフォーム(336A=1179円)は、自動運転・先進運転支援向け「高精度3次元地図データ」を提供する企業で政府主導の産業革新投資機構が筆頭株主の国策銘柄。米国でも事業展開している。ティアフォーとは、自動運転システムの開発や実証実験を共同で推進中だ。今27年3月期も赤字継続見込みだが、25年3月に新規上場時の公開価格1200円を奪回し、切り返し波動に乗ってきている。

 東証プライムのヤマハ発動機(7272=1951円)は、ティアフォーの第4位大株主。工場敷地内の搬送ロボットやゴルフ場のカート開発などでティアフォーと連帯。株価は8月に入り急伸し、24年から続いた底値圏からの上放れを見ている。オートバイ、船外機などマリン事業の世界的企業だが、半導体製造装置関連も手掛け、今26年12月期連結営業利益は3期ぶりの増益転換で最高益更新見込みのV字回復企業だ。昨年は年間で株価マイナスパフォーマンスだったことから、日経平均採用銘柄の中でも出遅れ感が働く銘柄として注目できる。

 東証スタンダードのアクセル(6730=1207円)は、ティアフォー株式100万株を保有する主要出資企業の1社。画像処理や音声出力用の半導体メーカーでパチンコ向けなどアミューズメント主体から半導体、AI、ロボット、セキュリティー向けなどに事業の軸足を移行させ始めている。今27年3月期連結業績は2・3%増収、27・9%営業減益と業績面でのリスクを抱えながらも、年間配当は3月期末一括の41円配当を見込み配当利回りは3・4%超。ティアフォーとは、完全自動運転に特化したシステムオンチップ開発を推進中。
(株価は1日終値、次回は三枝裕介氏です)