90歳になる実母が「心不全」になった。心不全とは、心臓の働きが低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態を指す。症状は息切れやむくみ、進行すると寝たきりになることもある。
酒の影響というと真っ先に肝臓が浮かぶが、実は心臓との関係も深い。特に長期間にわたる多量飲酒は、心臓そのものを傷める可能性がある。その代表が「アルコール性心筋症」だ。大量のアルコールを長期間摂取すると、アルコールやその代謝産物などの影響で心筋が障害され、心臓の収縮力が低下。息切れやむくみなどが現れ、心不全につながることもある。さらに、多量飲酒は高血圧のリスクを高めるほか、不整脈とも関係する。つまり酒は、心筋へのダメージ、血圧、不整脈など、複数のルートから心臓に負担をかける可能性がある。
まず心不全の場合、飲酒の可否は原因や重症度によって異なり、「○杯までなら大丈夫」という共通の基準はない。また、心不全では体内に水分がたまりやすく、状態によっては水分や塩分の制限が必要になる。酒も当然、水分になる上に、酒席では塩分の多いつまみを食べがち。そのため心不全と診断されているなら、自己判断せず、飲酒の可否や量を主治医に確認することが大切だ。一方、長年の多量飲酒によるアルコール性心筋症では、原因となる酒を断つことが重要。禁酒によって心機能が改善するケースも報告されている。
心不全をはじめとする心臓の疾患は、一度発症すると長く付き合っていく必要がある。実際、母を見ていると、心不全は心臓だけの問題ではなく、体力や行動範囲など日常生活そのものに大きく影響する病気なのだと痛感する。だからこそ、元気なうちから心臓をいたわる飲み方を意識しつつ、酒量をコントロールし、飲み過ぎないことを心がけたい。












