【レジェンド雀士からの金言】
麻雀界の礎を築いてきたレジェンドへのインタビュー連載。今回は麻雀漫画の名作を数多く描き、第1期麻雀最強位でもある漫画家・片山まさゆきに話を聞いた。麻雀を題材にしたギャグ漫画を得意とし、映画化された「打姫(うたひめ)オバカミーコ」など数多くのヒット作を発表。前編では麻雀を覚えたきっかけ、麻雀漫画を描く時に心がけていること、第1期麻雀最強位獲得にまつわるエピソード――。
2人きょうだいの兄として生まれた片山は、幼少期から漫画が大好きだった。「小、中学生の頃は漫画を読むことを楽しみにして生きてました。特にギャグ漫画が大好きで赤塚不二夫さんや鴨川つばめさんのギャグ漫画ばかり繰り返し読んでいた子供でしたね」
高校生の時、友達に誘われて麻雀を覚えた。「麻雀入門書を購入した翌日に友達と手積みでやったのが最初です。古い入門書だったので、面白いローカル役も掲載されていて、4フーロして裸単騎でアガると“金鶏独立(キンケイドクリツ)”という役が出ていたんです。そうすると全員初心者だから、みんな金鶏独立ばかり狙うんです(笑い)。毎週のように友達の家かうちで麻雀してたんですけど、毎回ホントよく負けてましたね」
高校卒業後は明治大学に入学し、漫画研究会に入部した。「漫画家になりたいなって夢があったんで、漫画研究会に入部したんですが、麻雀かお酒を飲むかの日々でしたね。麻雀は高校時代から勝つためにはどうしたらいいのかということをずっと考えていたんで、漫画研究会の中ではまあまあ強い方でした」
授業には全然出ていなかったので留年し、大学5年生になってからヤングマガジンの新人賞に応募した。「そうしたら最終選考まで残った作品リストという欄に自分の名前が小さく載ったんです。もう感激して、すぐに2作目を描いて新人賞に送ったら入選できて、担当編集者がついたんです。僕はギャグ漫画がやりたいって言ったんですけど、その担当さんが片山くんは麻雀得意なんだから麻雀漫画を描いてみたらと言われて描いた作品が『ぎゅわんぶらあ自己中心派』でした。初連載がヒットしたんで、担当さんの言ってることは間違っていなかったんですけどね」
22歳で漫画家デビュー後、次々と麻雀をモチーフにした作品を描き続け、2004年、45歳の時に麻雀プロ界を舞台とした麻雀漫画「打姫オバカミーコ」の連載をスタートさせた。
「当時の麻雀戦術本は上級者向けは多く出版されていたんですが、初中級者向けがほとんどなかったんです。だから初中級者理論をまとめ上げて描いたらいいんじゃないかなって思って、オバカミーコを描き始めました。渡辺洋香さんをはじめ女流プロに注目が集まり始めた時期でもあったんで、女流プロが師匠と出会って少しずつ成長していくストーリーにしました。ちょうどその頃、洋香さんとよくトランプをやっていたんですが、洋香さんがちょっとおバカなことをするたびに“おバカヨーコw”っていじっていたんです。その音韻が頭に残っていて、主人公の通称“オバカミーコ”になったんです。15巻まで描いたんですけど、僕の中では代表作になりましたね」
1989年、竹書房が主催する新たなタイトル戦「麻雀最強戦」が始まった。「当時のタイトルホルダーである一流の麻雀プロを選んで、本当に一番強い人を決めようという競馬の有馬記念みたいなイメージで開催された大会でした。麻雀最強戦の出場選手を決める人気投票があって、ダントツ人気は雀鬼会の桜井章一さんでした。でも桜井さんは自分の代わりに片山を出せって言われたんです。桜井さんの雀鬼会道場には何度か行ってはいたんですけど、さすがにトッププロの中に僕が入ったらまずいでしょと思いました。でも結局、断り切れずに出場したらなぜか優勝しちゃったんです」
決勝メンバーは灘麻太郎、安藤満、映画監督の長谷川和彦。「長谷川さんがダマテンで国士無双をテンパイした時、親だった灘さんがもしかしたらチートイかもしれないと警戒して止めていた牌が、なんと国士無双のアタリ牌だったんです。その局は流局したんですが、そうしたラッキーが勝因につながりました」
しかしタイトル獲得後、自身の中にある変化があったという。「ひょっとしたら自分は強いんじゃないかと勘違いしちゃったんです。麻雀最強戦に出場した時は自分が一番弱いんだという謙虚な気持ちで対局していたから運が向いて、麻雀の神様が勝たせてくれたというのに、勝てないとイライラしたり、傲慢さも出るようになってしまって、そういう期間が3年ほど続きました。自分はなんでこんなに調子に乗っていたんだろうと気づいてからは、謙虚に丁寧にをずっと心がけて対局しているんですけど、それでも心が揺れる場面が次々と起こるので、麻雀って本当に奥が深いゲームだなと思いますね」 ※後編に続く
☆かたやま・まさゆき 1959年4月20日、千葉県生まれ。B型。漫画家。81年、明治大学在学中「ヤングマガジン」の月間新人賞に入選し「平和(ピンフ)警察」でデビュー。「ぎゅわんぶらあ自己中心派」「スーパーヅガン」「ノーマーク爆牌党」「打姫オバカミーコ」など麻雀を題材にした作品を数多く執筆。グッドプレイヤーを目指す麻雀サークル「グッドプレイヤーズクラブ(GPC)」を主宰しながら、東京・吉祥寺で麻雀店「MAP with ミスチョイス」を経営している。















