日比野式チャレンジ、また始まる。東京藝術大学学長で岐阜県美術館館長のアーティスト・日比野克彦氏(68)が25日、岐阜美での新たな挑戦「ギフトルドン」について会見した。

 「ギフトルドン」とは岐阜美を象徴する画家オディロン・ルドンと「ギフト」「岐阜と」を掛けた造語。日比野館長は「アートが持つ根本的な人の生きる力を、産業に結び付けて起動させていく。感性と産業を繋ぐ日本初の美術館を目指す」試みだという。観賞するだけの場所だった美術館を、人を繋ぐ拠点へ変えていきたいと力を込めて話した。

 新プロジェクトは、名画の前で絵を描けるという、他に類を見ない「えをみてえをかく展覧会」(開催中)と、26日から始まる企画展「フランス近代絵画の祝宴」でスタートした。

 今回の「フランス――」展では10月24日、ヴァイオリニストの辻彩奈氏による「展覧会内コンサート」を行う。ピカソ、マティス、シャガール、ルノワールにゴッホやモネの前でヴァイオリンの音色を楽しめる。館長は展覧会内コンサートは過去にも存在したといいつつ「でも社会的な意義や地域を繋ぐという意識をもって美術館が行うのは初めてだと思います」と話した。

 会見には美術に造詣が深い江崎禎英岐阜県知事(61)も同席。実は江崎知事は美術館に足を運んで人生が変わった1人だ。

「本当だったら医者か物理の先生になるつもりでした。高校3年生の4月までは。父と一緒に京都に行って京都大学を見に行く予定だったんですけど、出発する朝に見た新聞広告で東京の美術館にミレーの晩鐘がきていると。そうしたら父が東京いくか?って。見終わった後に歩いていたら(東京大学の)弥生門に出まして…」。現在に至ると笑った。

 人に新しい価値感や行動を促す「アートは心の産業」(館長)。世界のどこにもない新美術館創生へ、日比野館長の〝産業革命〟は続いていく。