歴史を持った昔の道を歩く歴史街道歩きの楽しみは、健康にいいだけでなく知的好奇心も満たしてくれることだ。その歴史街道の中でも関東近郊の中原街道がいま注目されている。専門家に聞いた。

桜田門の正面には警視庁
桜田門の正面には警視庁

【勝海舟の愛した洗足池――あの「桜坂」も通る】

 中原街道歩きの楽しみは多彩だが、例えば次のような地点を巡ることができる。

 まず桜田門。一般的には中原街道は虎ノ門がスタートとされるが、江戸時代初期の当初の起点は江戸城桜田門だった。よくニュースで見る警視庁のそばからスタートすることになる。

 その後、日本政治の中枢である霞が関官庁街、国会議事堂などを眺め、虎ノ門を通過して東京23区最高峰の愛宕山や東京タワーの人気撮影スポット赤羽橋交差点に至る。三田の慶応大学を通過すると、泉岳寺など赤穂浪士関連の史跡が多く点在する。

 中原街道はアップダウンが多い。坂道ファンにとっては宝庫かもしれない。白金は高台、逆に低地である五反田を通った後、洗足池のそばを通る。ここは勝海舟が好んだとされる地である。

 やがて、福山雅治の名曲「桜坂」のモデルとなった下り坂を下りて多摩川を渡る。その後、タワマンが林立する武蔵小杉の北側の旧小杉宿を通る。

 横浜に入ると、港北ニュータウンの台地を横断し、横浜市動物園ズーラシアがあり、厚木基地の南端を通過する。

 さらに、パワースポットでもある相模国の寒川神社などを経て、相模川を越え、到達するのが隠居後の徳川家康が通った中原御殿であり、東海道を経て駿府との往復にも利用した。中原御殿跡は、現在は中原小学校になっていて、敷地内に碑が立っている。

【解説書とマップも充実、近場で歴史街道デビューを】

 歩くためのガイドブックについても触れておこう。あまり歴史古道として認知されていない中原街道は有名な東海道のようにはたくさんのガイドブックや資料がないのも事実だが、「ホントに歩く中原街道」という解説の書籍と、同じ名称のウオークマップが風人社から発行されている。書籍では中原街道の物語を読むことができる。マップは1万分の1地形図に中原街道の旧道ルートが記載され、多くの現地写真も掲載されて実際に現地を歩けるようになっている。

 同社の大森誠社長によれば「ウオークマップ発行のために現地調査で歩くと、中原街道には確かに東海道の関宿や中山道の妻籠・馬籠のような風景はあまりないのですが、短い区間の道中なのに様々な歴史的魅力がありました。しかも関東地方の真ん中ですから近隣に居住する方も多いはずです。つまり、すぐ近くで手軽に歴史街道を歩くことができるわけです」と推奨してくれた。古墳や、橘樹官衙遺跡群などの古代遺跡もある。東海道以上に歴史が古く列島交通路の一部区間として重要性の高い中原街道が見直されることを大森社長としても期待しているそうだ。

 暑い夏が終わって歩きやすい季節になったら、まず近場の中原街道で歴史街道歩きにデビューして健康と知的好奇心を満たしてはいかがだろうか。