【レジェンド雀士からの金言】
麻雀界の礎を築いてきたレジェンドの麻雀人生、勝負哲学、後進への思いを今に伝えるインタビュー連載。麻雀漫画の名作を数多く描き、第1期麻雀最強位でもある漫画家・片山まさゆきのインタビュー後編だ。麻雀プロ界を創成期から間近で見てきた片山に、若手プロに伝えたいこと、主宰するグッドプレイヤーを目指す麻雀サークル「グッドプレイヤーズクラブ(GPC)」のこと、そして今後の目標を聞いた。
“ミスター麻雀”こと小島武夫をはじめ「プロ雀士」という存在が誕生した1981年、すでに漫画家デビューしていた片山は麻雀プロ界をどう見ていたのか。「麻雀に人生をかける人たちって、ちょっとかっこいいなって思って見てました。競技麻雀プロの世界の一ファンだったので、プロの手順を研究したり、プロがいる麻雀店に行ったりしてましたね」
Mリーグ人気で麻雀プロ人口が3000人を超えた現在、Mリーガーを目指す若手プロへエールを送ってくれた。「もしも今、自分が麻雀プロだったとしたら、いかに運を育てるかということを真剣に考えると思います。麻雀というゲームの特性は腕があっても、必ずしも勝てるわけでなく、誰がなんと言おうと運が介在しているからです。であれば、運を強くするしかありません。めっちゃスピリチュアルなことを言っちゃいますが、卓に座るまでにどれだけ運を膨らませた状態に持っていけるのかの勝負だと思っています」
運の育て方は人それぞれでいいと片山は言う。「僕の場合はどこに行ってもトイレをキレイにしています。居酒屋のトイレも少しでも散らかってたらキレイに拭き取る。人間関係においても怒らないことと人を傷つけないことを意識し、大事な対局がある時は1週間前からは大好きなお酒を断つ。牌を叩きつけないことはもちろん、道具を大切に扱う」
対局会場の近くにある神社には必ずお参りするという。「そうやって自分なりに運を育てていくと、このリーチはツモれるはずだという気持ちになれるんです。思い込みかもしれないけど、勝つ時はやっぱり麻雀の神様に勝たせてもらう感が強いので、麻雀の神様に愛されるためには日常生活を整え、丁寧に我慢強く謙虚に打つしかないと思うんです。でも意識していてもなかなかうまくいかなくて、怒ったり、傷つけたりしてしまうこともあって、そういう時はちゃんと運気が下がってますけどね」
2009年、片山と“メンチンのバビィ”こと馬場裕一が立ち上げた麻雀を楽しむための麻雀大会「グッドプレイヤーズクラブ(GPC)」は共感を呼び、26年現在、開催地は北海道から沖縄まで全国各地に広がっている。
「立ち上げ当初はまだマナーが微妙な人がたくさんいた時代でした。卓上でイライラする人も多く、けんかになることもよくあったんです。これは良くないなと思ったんで、グッドプレイヤーだけで集まってリーグ戦をやったらどうだろうという単純な考えで始めたんです。でも実際に集まってくれた人の中には、癖のある人も結構いたので、グッドプレイヤーが集まろうではなく、グッドプレイヤーをみんなで目指していこう。そして誰と打っても好かれるようなプレイヤーになればいいじゃんと思ったんですよね」
立ち上げにあたってはグッドプレイヤーを目指すためのGPC憲章を決めた。「“グッドプレイヤーは相手を認める”“グッドプレイヤーは自分にのみ厳しい”“グッドプレイヤーは上機嫌である”。特に“上機嫌である”は、本当に大切なことで、アガった相手に点棒を丁寧に渡すだけでも、この人は上機嫌でいいなって思いますね」
これまで麻雀を打ってきた中で忘れられない人がいるという。「KONAMI麻雀格闘倶楽部の佐々木寿人プロがまだアマチュアだった時。佐々木っていう強いやつがいるからちょっと打ってくれないかって紹介されて同卓したら、なんだこの人はと驚きました。あらゆるスピードが速い。ツモって切る動作が速いのは当たり前で、仕掛けが入ろうがリーチが来ようが、その対応がすべてノータイムで来るんです。ツモ番が来るまでに決めているんでしょうけど、その所作に圧倒されちゃって、ちょっと次元が違うなと思った記憶は今でも鮮明に残ってますね」
片山まさゆきにとって麻雀とは?「麻雀は僕にとって恩人です。麻雀を通じていろんな人と出会えたし。麻雀がなかったら漫画も描いていなかっただろうし。実は20代の頃はコミュ障だったんで人と話をするのがすごい苦手だったんですけど、それが麻雀によって徐々に変わっていって、今では一人で家の中に閉じこもるのが嫌で、誰かと話がしたいなっていう性格になっちゃったんですよね」
漫画家として胸に秘めたる思いがある。「今はまったく描いていないんですけど、最期は漫画家として生を全うしたいという思いはあります。読んだ人がほっこりするような、気持ちが心が軽くなるというか少しやわらぐ感じの漫画を描きたい。それは表現者として、自分が生きていくテーマでもあるのかなと思っています」
☆かたやま・まさゆき 1959年4月20日、千葉県生まれ。B型。漫画家。81年、明治大学在学中「ヤングマガジン」の月間新人賞に入選し「平和(ピンフ)警察」でデビュー。「ぎゅわんぶらあ自己中心派」「スーパーヅガン」「ノーマーク爆牌党」「打姫オバカミーコ」など麻雀を題材にした作品を数多く執筆。グッドプレイヤーを目指す麻雀サークル「グッドプレイヤーズクラブ(GPC)」を主宰しながら、東京・吉祥寺で麻雀店「MAP with ミスチョイス」を経営している。














