名門から名門へ――。その第一歩は、実に象徴的な形で踏み出された。レッドソックスからFAとなり、カブスと5年総額1億7500万ドル(約276億円)のビッグディールで契約合意したアレックス・ブレグマン内野手(31)が移籍発表当日の14日(日本時間15日)、早くも「風の街」に溶け込んだ。
舞台はNBAの名門シカゴ・ブルズの本拠地ユナイテッド・センター。妻とともに対ユタ・ジャズ戦の観戦に訪れたブレグマンは場内ビジョンに映し出されるとブルズのユニホームを掲げ、満員の観衆から大歓声を浴びた。背番号は3。長年背負ってきた「2」はカブスでは着用できないが、その変更すらも新天地での再出発を強く印象づける演出となった。
カブスにとってブレグマンは球団史上屈指の大型補強だ。メジャー通算209本塁打、2度の世界一を経験した実績と勝者のメンタリティーは、若いロースターに欠けていた〝芯〟そのもの。球団が平均年俸でブレグマンに過去最高額を投じた理由は明白だ。
一方で、この華やかな船出と同時にブレグマンは古巣への気遣いも忘れなかった。移籍発表直後、自身のSNSを通じてレッドソックスの面々とボストンのファンに向け「私と家族を温かく迎えてくれたことに心から感謝している」と異例の謝意を表明。現地メディアの間ではチームの競争力に不満を抱いていたと伝えられているもののボストンの街とファン、そして球団への敬意は最後まで貫いた。
シカゴでの〝即席デビュー〟と、ボストンへの丁寧な別れ――。その一連の行動が示すのは、覚悟を決めたスターの現在地だ。ブレグマンの新章はボストンからシカゴへとシフトし、確かな熱量を伴って静かに動き始めている。











