カブスからFAとなっている今オフ最大級の目玉、カイル・タッカー外野手(28)の去就が最終局面を迎えつつある。

 ブルージェイズとメッツが現地メディアによって連日のように条件提示や面談の動きが伝えられる中、有力候補の一角とされながら不気味なほど音沙汰がないのがドジャースだ。その沈黙が「脱落」なのか、それとも「嵐の前」なのか――。球界の視線は、静まり返る〝西の帝国〟の動向に集まっている。

 米スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン記者は、タッカーの決断時期について「今週中、あるいはそれより早い可能性もある」と指摘。現時点で長期契約に最も前向きなのはブルージェイズで10年契約を用意しているとの見方もあり、メッツは年俸5000万ドル(約79億2800万円)級の短期高額オファーを準備しているとされる。

 一方でパッサン記者は「このクラスの打者を前に、躊躇している球団があること自体が不思議だ」とも語り、今後2年のFA市場に目立った打者が少ない現実を踏まえれば、タッカーの価値はより際立つと強調した。

 ここで浮かび上がるのがドジャースの存在だ。地元有力紙の「ロサンゼルス・タイムズ」など複数の現地メディアによれば連覇中の王者は外野に明確な補強ポイントを抱えており、タッカーは「理想的なピース」に映る。ただしタッカーに関してはここにきて長期契約に慎重な姿勢を示していると見られ始めており、勝負に出るとすれば短期・超高額型契約になる可能性が高まりつつある。

 米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のドジャース番記者であるケイティ・ウー氏も「スプリングトレーニングの開始日が迫り、その直前になれば各球団の編成費用にブレーキがかかり始める。それでも短期高年俸を提示できる球団はドジャース以外にない」と分析。ブルージェイズやメッツが先にカードを切る中、あえて沈黙を保つ姿勢は交渉の最終局面で一気に主導権を握るための布石とも取れる。

 静けさは敗退か、それとも逆転の合図か――。タッカー争奪戦は、ドジャースの〝一手〟を待つ段階に入った。沈黙が破られる瞬間こそ、この冬最大の分岐点となりそうだ。