【橘高淳 審眼(53)】2022年4月10日、ZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ―オリックス戦でロッテ先発・佐々木朗希投手が完全試合を達成したお話の続きです。
初回、オリックスの3番・吉田正尚選手から5回の西村凌選手まで佐々木投手が13者連続奪三振の日本新記録を樹立。完全試合ペースのまま試合が成立しました。
私としては記録を狙う立場にありませんから、球審としてしっかりと判定をしなければと必死です。内心では完全試合、ノーヒットノーランを達成するのではないかという思いもありましたが、それよりも現場の仕事に集中です。
仕事をする立場の方々なら同じだとは思いますが、邪念があったとすれば、今日の仕事は早く終わりそうだなくらいの気持ちはあったかもしれませんが、そんなことを考えている余裕もありませんでした。
6回のオリックスの攻撃は7番の紅林弘太郎選手から始まりました。ここは初球を打って中飛。連続奪三振記録は「13」で途切れましたが、安打も四死球も失策もありません。次打者の福永奨選手は捕邪飛、宜保翔選手は空振り三振と佐々木投手のペースは落ちませんでした。
あの日のオリックス打線から、記録阻止のため当てにいこうなどという雰囲気は感じられませんでした。私自身は引き続き、しっかりとストライク、ボールの判定を下さないといけません。ただ、球場全体の雰囲気は感じます。佐々木投手が大記録を達成するのではないだろうかという空気は感じていました。
そこまでロッテが1―0でリードという展開でした。ですが、6回のロッテの攻撃でレアード選手がこの試合で2打点目となる適時二塁打を放ち加点。二死からエチェバリア選手の適時打で3点目を入れると、続く藤岡裕大選手が四球を選び二死満塁とチャンスが拡大しました。
そして、この年のドラフト1位の高卒ルーキーで、佐々木投手の女房役として先発マスクをかぶっていた松川虎生捕手が、中堅フェンス直撃の3点適時二塁打を放ち、点差を一気に6点まで広げました。この時点で粘投を見せていたオリックス先発・宮城大弥投手は降板です。
佐々木投手の調子と球数、点差を考えればロッテの勝利が濃厚となりました。そうなると佐々木投手の大記録達成への期待も膨らみます。ただ、私としては普通に判定することに気持ちを置いていますから、変わらず必死です。
7回、オリックス打線の打順は1番に戻り後藤駿太選手は右飛。この打席は初球から3球連続でボールとなり、唯一の3ボールとなりましたが、完全試合ペースを継続です。一死を挟んで吉田選手が見逃し三振に倒れ、打者21人連続アウト。あとアウト6個を取れば球場も盛り上がります。
8回は先頭のラベロ選手を空振り三振で打ち取り、この試合16個目の奪三振を記録。これで佐々木投手にとってロッテ球団の大先輩であり名球会会員、マサカリ投法の村田兆治さんが1979年6月8日の近鉄バファローズ戦で記録した球団記録に並ぶことになりました。
さらに次打者の福田周平選手を空振り三振とし、17奪三振となり一気に球団新記録を更新。続く代打・渡部遼人選手も空振り三振で完全試合ペースのまま9回を迎えることになります。












