イングランド・プレミアリーグのチェルシーの売却益を巡って、ロシアの大物議員が強い〝警告〟を発して波紋を呼んでいる。

 注目を集めてきたチェルシーの売却先は、米大リーグでドジャースの共同オーナーを務めるトッド・ボーリー氏らのグループで決着したと欧米メディアが一斉に報道。オーナーを務めていたロマン・アブラモビッチ氏の意向により、総買収費用のうち25億ポンド(約4030億円)はウクライナ支援のため慈善団体などに寄付される見込みだ。

 しかし、巨額の売却益の寄付にロシアから〝待った〟がかかった。

 同国メディア「スポーツエクスプレス」は、ロシア下院でスポーツ関連委員会の議長を務めるドミトリー・スビシュチェフ氏の見解を報道。

「我々は常にロシアでカネを使うべきだと言ってきた。我々の国で稼ぎ、スポーツを発展させるオリガルヒ(新興財閥)は、ロシアのアスリートやクラブのために投資する必要がある」と売却益は本来アブラモビッチ氏が受け取るものだとして、ロシアのために利用するよう警告。売却益を管理する英国政府を強くけん制した。

「我々のアスリートは、アブラモビッチのような投資家が提供するクールな投資を必要としている。アブラモビッチがブロックされた口座から資金を引き出すことができたら、彼がロシアのスポーツ、芸術、または他の何かの利益のためにそれを使うことを期待する」と売却益を寄付ではなくロシアに還元するよう繰り返し求めた。

 欧米諸国から厳しい経済制裁を受けるロシアにとってチェルシーの巨額売却益は魅力的。どうにかして〝横取り〟しようと必死なようだ。