【スペイン・マドリード発】18日(日本時間19日)から始まったサッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦第1戦は大波乱の幕開けとなった。昨季王者リバプール(イングランド)は敵地でアトレチコ・マドリード(スペイン)に0―1でまさかの敗戦。1月に加入したMF南野拓実(25)はベンチ入りを果たしたが、自慢の攻撃陣が不発に終わった。

王者に待っていたのは予想もしていなかった落とし穴だった。イングランド・プレミアリーグでは今季26試合で25勝1分けという驚異的なペースで勝ち点を積み重ね、最近は17連勝中。圧倒的な攻撃力だけでなく、ここ11試合で10完封と堅守も誇り、敵地での試合とはいえ死角はないかと思われた。

 だが、相手は2013―14、15―16年シーズンで2度の決勝進出を果たしたディエゴ・シメオネ監督(49)率いるAマドリード。舞台はアウェーチームにとって難攻不落のエスタディオ・メトロポリターノ。CL独特の雰囲気で始まった一戦はわずか4分でスコアが動いた。

 AマドリードMFコケが蹴った右CK。ゴールから遠ざかる軌道のボールはMFファビーニョの足に当たってゴール前に転がり、鋭く反応したMFサウルニゲス(25)に押し込まれて先制を許した。その直前に不用意なプレーでサイド攻撃からピンチを招いていたことを見ても、王者の集中力の欠如は明らかだった。

 その後は落ち着きを取り戻したものの、FWモハメド・サラー(27)、FWサディオ・マネ(27)、FWロベルト・フィルミノ(28)の自慢の3トップが思うように仕事をさせてもらえない状況が続く。一人が突破してもAマドリード守備陣の的確なカバーの前に沈黙。前半は75%の支配率を誇ったが、枠内シュートは1本も打てなかった。

 後半もボールを保持しながら、攻め手に欠ける内容。こうなるとベンチの南野に出番が回ってくる展開ではない。サラーの巧みなボール奪取からの反撃もファウルと判定されるなど、この日の王者にはリーグ17連勝中の勝負強さはなく、シュートは7本に抑えられ、枠内に飛ぶことは最後までなかった。

 リバプールの今季公式戦での黒星は昨年9月17日の欧州CL1次リーグナポリ戦、12月17日のリーグ杯アストンビラ戦に続く3度目。とはいえ、これらはすべて敵地での一戦。第2戦(3月11日=同12日)は無敗の本拠地アンフィールドに戻る。虎視眈々と出場機会をうかがう南野ともども、逆襲に向けて牙を研ぐ。