J史上最強助っ人ビスマルク 消えたカズ妹との「お見合い計画」

2020年09月01日 16時00分

93年ナビスコカップでMVPのビスマルク(左)と優勝カップを持つカズ

【多事蹴論(6)】Jリーグで「史上最強の助っ人」と称されるのは元ブラジル代表MFビスマルクだ。プロサッカーのJリーグが創設された1993年シーズン途中にヴェルディ川崎(現東京V)に加入すると、堅実なプレーでチームを第2ステージ制覇に導き、その勢いのままリーグ優勝に大きく貢献。ゴール後の“お祈りポーズ”でも知られる選手だった。

 90年イタリアW杯メンバーで、スペインのクラブとV川崎からオファーを受け、悩んだ末に入団を決意したが、来日当時はまだ23歳。チームメートから日本語のレクチャーを受けて最初に覚えた言葉を本人に聞くと、感情を込めて「ウソー、ホントー、キミ、カワイイね」と発言。先生役の一人、FW藤吉信次(現J2東京Vコーチ)は「そういう言葉の方が実用的ですから」と笑っていたが、イレブンはもちろん、チームとしてもブラジル人助っ人を手厚くサポートした。

 中でも積極的にコミュニケーションを図ったのはV川崎の絶対エース、キング・カズことFW三浦知良(現J1横浜FC)だった。ブラジルの公用語であるポルトガル語で直接会話できることもあり、プライベートでも食事に行くなど親交を深めると、試合でも好連係を発揮。チームに欠かせない戦力となったビスマルクはV川崎を2季連続のJリーグ王者に導くなど、日本サッカー界でも存在感を高めていた。

 そんな超優良助っ人に浮上したのがお見合いだった。当時、ビスマルクが日本人女性との交際を望んでいたこともあり、周囲が計画していたという。仮に日本人と結婚すれば、日本国籍を取得することも可能。ブラジル代表歴があり、日本代表にはなれないものの、外国人枠が一つ空く。すでに日本へ帰化していたブラジル出身のMFラモス瑠偉のように、長い間、日本でプレーしてもらうために関係者らが水面下で話を進めていた。

 しかも、ビスマルクのお相手には「カズの妹(美華子さん)」が浮上していた。近親者にブラジル事情にも詳しい長男の日本代表DF三浦泰年、次男のカズらプロサッカー選手がいることが大きな決め手になったという。カズに近い関係者は「ビスマルクが結婚することになれば(泰年、知良、ビスマルクの)3兄弟になる。それは最強だろう」と話すなど、周辺は盛り上がったという。

 残念ながら諸事情により、お見合い計画は頓挫し「サッカー三浦3兄弟」も実現しなかった。その後、V川崎を退団したビスマルクは97年に鹿島へ移籍。チームのタイトル奪取に貢献するとともに、V川崎時代にチームメートから紹介されたプロテニス選手の伊達公子と交際をスタートさせるなど、日本で公私ともに順風な時を過ごした。

 現在はブラジルを拠点に選手代理人として活躍。日本にも選手を紹介し、日伯サッカー界をつないでいるが、歴代最高と言われた自身を超える助っ人を日本に送り込んでほしいものだ。