女子プロレス「スターダム」の〝アイコン〟岩谷麻優(29)が、賛否両論渦巻く「IWGP女子王座」取りに名乗りを上げた。同王座はスターダムと新日本プロレスが世界市場に打って出ることを目的とした王座として新設されるため、ベルトの趣旨が似ているSWA世界王座とのすみ分けが注目されている。だが、同王座を保持する岩谷が獲得意思を示したことで〝IWGP女子論争〟は急展開を迎えそうだ。


 先日のスターダム戦略発表会で新設が発表されたIWGP女子王座が大きな反響を呼んでいる。特に議論となっているのが、歴史と伝統の「IWGP」の文字が入った女子王座であることと、ベルトの位置づけだ。

 すでにスターダムでは団体最高峰のワールド王座(王者・朱里)をはじめワンダー王座(王者・上谷沙弥)など、シングルでは5本の管轄王座が存在する。中でも2016年5月に海外戦略を目的に創設されたSWA王座との兼ね合いが注視されている。

 5月にSWA王座を獲得した岩谷も、IWGP女子王座について「シンプルにすごい!って思ったけど、今のところ趣旨がSWAっぽいなって感じました」と認める。

 だが、岩谷といえば「キャリア3年未満」の挑戦制限があるフューチャー王座を除くすべてのスターダム管轄王座を巻く「グランドスラム」を達成した唯一の存在だ。

 そのため「スターダムの何かのベルトがなくなるのか、統一されるのか、増えるのか、まだ分からない状態だし、IWGPはすごい歴史があるタイトルなので簡単には言えないけど…」と前置きしつつも「新たなベルトが作られるってことは、史上初のグランドスラム達成者としては初代チャンピオンになりたいです」ときっぱり口にした。

〝ベルトコレクター〟としての血が騒ぐだけでない。かつて紫雷イオ(現WWEのイヨ・スカイ)、宝城カイリ(現KAIRI)との「3人娘」で活躍したが、岩谷だけが米WWEに移ることなく日本に残り続けた。

「岩谷麻優の目標は、日本にいながら世界で有名になること。なのでもっとスターダムのプロレスを世界に広める使命があります」という思いからで、IWGP女子王座は自身の目標にも合致するからだ。

 元相棒の存在も大きな刺激だ。かつて名コンビ「サンダーロック」を結成しゴッデス王座の最多防衛記録「V10」を樹立したイヨは、7月30日(日本時間31日)の「サマースラム」で復活。NXTからロウへの昇格が有力となった。岩谷は「昔の相方が今、世界で活躍しているから負けられない。いつか夢のシングルをしたいですね(笑い)」と目を輝かせた。

 IWGP女子王座の初代王者決定戦はスターダムと新日本の合同興行(11月20日、有明アリーナ)で開催される予定で、今月中にベルトに関する詳細が会見で発表される。団体の中心選手が意欲を見せたことは、各方面に影響を及ぼしそうだ。