新日本プロレスとの対抗戦(8日、横浜アリーナ)でファンの記憶に残ったのが、ノアの若武者・清宮海斗(25)だ。武藤敬司(59)とのコンビでオカダ・カズチカ(34)、棚橋弘至(45)組に敗れ、試合後に大号泣。オカダから厳しい言葉をかけられるひと幕もあった。あの涙は何だったのか? そして屈辱の敗北を経て2022年はどこに向かうのか――。


  ――今の心境は

 清宮 もう上を向いてます。もちろん悔しい思いをして、控室に戻ってから気持ちが落ちた瞬間もありました。「辞めた方がいいのかな」って。

 ――そこまで!

 清宮 でも、帰りのバスで気づいたら自分の試合をチェックしてました(苦笑い)。翌日も1日中、ノアの選手がどんな動きをしていたか試合を見ていて、ふと「俺にはプロレスしかないんだなあ」って思って。もう前に進むしかないですよ。

 ――試合は何が一番悔しかったのか

 清宮 技術とか技とかじゃなくて、試合全体を把握する力に差をすごく感じて。視野を広くして、先を考えたりする部分ですね。それがなければ、技術も生かせないと思いました。

 ――試合後の涙は

 清宮 悔しさもですけど、それ以上に周りの人たちの支えがあってあそこにいけたので。そういう人たちを裏切った形になってしまったのが申し訳なくてですね。

 ――オカダから「悔しいなら新日本に来ればいい」とまで言われた

 清宮 新日本に行ったらノアと違う経験はできると思うんですよね。いろんな世界があると思うので。だけど今、俺が大事にしたい世界はノアだから。負けてるから偉そうなことは言えないですけど、ここでやっていきたいですね。

 ――1日の日本武道館大会では拳王のナショナル王座に挑戦して敗れた

 清宮 正直、ペースをつかみきれなかった。ここを一番ポイントにしていたんですけどね。そこは今年の課題になるのかなと思います。

 ――年初のビッグマッチで連敗こそしたが、一気に成長への課題をつかんだように見える

 清宮 そうなんですよ。言葉で「これ」っていうのは難しいんですけど、感覚的にそういうのを持っています。

 ――それを踏まえ今年はどんな年にしたい

 清宮 ノアを引っ張っていきたいですね。止まっていられない。人生をかけてやらないといけない年になると思います。

 ――その点、他団体とはいえ時代をつくった選手たちに触れた影響は大きいのでは

 清宮 むちゃくちゃあります。それぞれ形は違いますけど、団体愛というか「この団体をこうしていくんだ」「俺がこの団体を守るんだ」という気持ちがすごい強いと感じました。自分のことだけじゃないというか。

 ――なるほど

 清宮 俺は今までプロレスを断片的に見ていたんだと思います。試合をしてもいい試合したか、してないかとか。でもプロレスって、そうじゃないんだなって。この団体を大きくするのが自分の一番やりたいことで、そこに向かう日々すべてがプロレスなんだと気づきました。

 ――表情も明るい。今年は期待してよさそうだ

 清宮 去年どん底を見ましたから。ここまできたら進むしかない。越えなきゃいけない壁もたくさんありますから、人生かけてやってやります!