新日本プロレス「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」連覇を達成した高橋ヒロム(32)が16日、史上屈指レベルで濃度の薄い一夜明け会見を作り上げた。

 2004、05年大会以来史上2人目の連覇、大会史上最多タイの3度目の優勝を飾ったヒロムはこの日、来年1月4日東京ドーム大会のセミでIWGPジュニアヘビー級王者エル・デスペラードへの挑戦が正式決定。一夜明け会見で一体何を語るのか注目を集めたが、登場早々からテンションがおかしい。「ふざけやがって…なにが一夜明け会見だ、疲れてんだよ! 帰るぞ、俺は。悪いけど何も言うことなんてねえ、帰る。ふざけやがって…なんちゃってドッキリでした~! テッテレー、ハッピーです、ヒロムちゃんはハッピーで~す! ヤッターヤッター、みんなビビッてやんの!」と一人で騒ぎ立てた。

 ともあれヒロムは優勝のうれしさから前夜は眠れなかったという。別にそれならそうと端的に言ってくれたらいいのだが「よっぽどうれしかったんだろうなと思います。だって想像してください。自分が2連覇したと思ってください。どう思います? うれしいですよね。同じ気持ちですよ。そうやったら伝わりますよね? 見てる方も同じですよ。自分が2連覇したと思ってください。『俺は2連覇した』『あっ、これがいまのヒロムちゃんの気持ちなんだ』と。わかりやすいと思います。いま俺、すごいわかりやすいことを言いました」とかなりくどい言い回しが延々と続く。

 タイトル戦はセミとなり、ドームのメインイベントという夢の実現はお預けとなった。ヒロムは「仕方ないですね。やっぱりその夢はいつかかなえたいと思いますけど、簡単にはかなえてくれないなと。ここを越えていかなきゃいけないと思いますし、ここを越えてメインイベントにたどり着いて、初めてうれしい、最高だ、楽しみだ、そういう感情が生まれると思います。だからこのセミファイナル最高に盛り上げたうえで勝ちますよ。そしてジュニアの中心に戻る」とキッパリ。もう本当にそれだけで十分伝わったのだが、ここでも司会者に自身がヒロムだったらどんな心境かを逆質問してエネルギーを奪い取っていった。

 デスペラードとはBOSJ公式戦で30分時間切れ引き分けに終わっており、ドーム決戦で決着をつけることになる。対策を問われたヒロムは「いまのところ対策はない! 昨日、優勝したばっかですよ。対策も何もまだ練れないでしょ」と投げやりに答えつつ「まだ俺、頭の中がおかしいですからね。何言ってるかわからない。俺はいまどういうことをしゃべってるんだろう、果たしてしゃべってるのを後で自分で見て後悔しないだろうか。たぶん俺はこのあと配信される映像は見ないと思います。それでも俺は悔いのない人生を送りたい。どう思いますか、逆に?」と、こんなに絡みづらいレスラーがいたのかと思わせる制御不能ぶりだ。

 その後もなかなか会見を終わらせようとせず、質問を促しては逆質問をするという地獄絵図。そんななかで田口隆祐が提案した「ジュニア入門テスト」には賛同しつつ、今後出てくる若手の壁となる誓いも立てた。「『高橋ヒロムを倒したい』そういった人材がこの先入ってきたら面白いですよね。『アイツの連覇を止めるのは俺だ』ぐらいな力強い言葉を俺は聞きたいですね。俺はここから目指せ15連覇ですからね。『高橋ヒロム15連覇するまで引退できません』みたいな企画が今日から開始ですよ、たった今」と自らを奮い立たせたが、またも司会者に逆質問を連発して困惑させた。

 結局ヒロムの独演会は15分以上も続き、会見は司会者の権限で半強制的に締めくくられた。司会者しか質問者がいないオンライン会見でこれだけ長時間におよんだケースは珍しく、また発言のほとんどがヒロムワールド全開だったため、本人も自身のツイッターで会見映像に対し「この動画は見なくても…大丈夫かな…」とつぶやいていた。